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緊張と楽しみ
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ふんふん。と鼻歌を歌いながら想のたたんだ洗濯物を広げていると、「俺たたんでる意味無くなっちゃう」と言われたので広げるのは駄目なことらしい。
想のやり方をまねて、たたむのを手伝った
それが終わるとタイミング良くインターフォンの鳴る音がした
「…鈴かな!?」
嬉しくて、想の膝に乗りながら聞けば「うん」と頷いてくれたので玄関まで走っていった
鈴は面白くて大好き。
玄関を開けて、相手も見ないままに抱きつけばいつもの大きな体ではなくて俺と同じくらいの大きさ。
そのまま体は傾いていってしまう
「…っ、ごめ…」
倒れると思って、抱きついた子に謝った
けれど、目を瞑ってしばらくしてもその衝撃は来ない
恐る恐る目を開けば俺の背中は想のところで、俺の抱きついた子の背中は鈴のところだった
「環、ちゃんとごめんなさいしないと。びっくりしちゃうでしょ?」
「…ぁ、ご、ごめん」
その子は直ぐにポケットの中に隠してしまったけれど、俺はその子の手が震えていたことに気づいていて、本当に申し訳ないことをしたなと反省する
「ほんとに、…ごめんね」
「気にしないで」
小さな声で、そう言ってくれた。
その子は真っ白ですごく綺麗。
何でこんなに真っ白なんだろう?
綺麗だなぁ。と見とれていると鈴に名前を呼ばれた
「環ちゃん、この子が結。よろしくね」
結。
鈴の大切な人というのはこの子の事だったのか。もう一度結を見る
「…鈴、やっぱり帰る」
すごく小さな声。
多分、鈴にしか聞こえないように気を使ってくれているんだろう
「そんなこと言わないでー」
鈴は困ったみたいに結の頭を撫でる。
違う。
結は鈴を困らせたいんじゃなくて、怖いんだと思う
知らない人と過ごすくらいなら一人のほうがずっと良い。
その気持ちは、すごく分かるから。
「結。…一緒にあそぼ?」
近づいて、結の手をそっと取ってみる
「…っ、何」
あ、怖がってる。
安心させてあげたいのに、俺にはどうすればいいか分からない
想を見上げれは、優しく頭を撫でられた
「結くん」
結の前にしゃがんだ想が声をかける
「…結でいい」
「じゃあ、結。
俺は水城想。病院で働いてるよ。
それで、こっちの子が藍原環。優しい子だから緊張しなくて大丈夫だよ」
…優しい、かな?そんな事はないと思うけれど。
結と目があって、にこっと笑った
「じゃあ、そろそろ行かないと。ごめんね、よろしく!」
想と鈴が会話をして、鈴がいなくなる
「結のこと部屋に連れてきてくれる?」
うん。と頷けば想はその場からいなくなってしまった
結に向き直る。
結は、息を吐くとそのまま玄関に座りこんでしまった
「…大丈夫?」
結の行動の意味というか、心情は凄くわかる。
だからこそ、無理に動かすこともできないし、言葉をかけることもできない。
しばらく一緒に玄関に座っていると、何だか眠くなってきてしまって気づいたら結に起こされていた
「部屋、戻ったら?」
「じゃあ、結も一緒に行こう?」
「…うん」
「怖くないから大丈夫だよ」
ふふ。笑って結の頭を撫でると「怖がってないから」と目を逸らされた
何だか結は、可愛い。
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