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帰り
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環の塗り絵は少し普通とは違う。
こうやって見てしまうのは職業柄なのか独特な配色のせいなのかはわからない
いつも、色のベースは黒と紫。
基本、環の知らないものは黒や紫一色で塗られる
酷いときはその絵の線そのものをぐちゃぐちゃにして「もうやだ!」って泣いてしまうときもある
逆に、カラフルに綺麗に塗られるものは環が知っていたり、誰かを想像して塗っていたりするとき。
その時は本当に楽しいらしく「想はね、お医者さんだから服は白」とか「猫ちゃんは3色!」と想像しながらにこにこと色を塗る
1枚の絵の中にカラフルなものとそうでないものが混ざり合って変な感覚になる
「今日は何塗るの?」
「何がいいー?」
ページをめくりながらどれにしようかと考える環
この塗り絵本は割と本気出して探し回ったものだった
1冊の中に花や人、動物、建造物など様々なジャンルの絵が入っており、その絵柄も様々だ
細かいものもあれば、簡単に塗れるものもある
「…これにする!」
声が聞こえ顔をあげればそれは大きな木にたくさんの花が咲いているという絵だった
「いいね」
「うん!これにする!」
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