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「…え…?」
突然、そう言って頭を下げる逢坂に、困惑から固まってしまう。
数秒後、顔を上げた逢坂は、色々な感情をごちゃ混ぜにしたような、複雑な顔をしていた。
「……怒ってるよね、あのこと」
「……」
別に、怒ってる訳じゃない。
ただ、まだ事の整理がつかなくて、頭の中がぐちゃぐちゃなだけ。
一度に与えられた情報が多すぎて、キャパオーバーしてしまっているのと、多分同じ。
「……本当、ごめん」
逢坂は俺を真っ直ぐに見据えてから、また頭を下げる。
何だかいたたまれなくなって、やめろよと直ぐに顔をあげさせれば、逢坂はその綺麗な灰色の瞳を曇らせて、でもね、と続ける。
「……俺も、分からないんだ。どうしてあの時、あんなことしちゃったのか…」
「…分からない、って」
ーー何それ。
あのキスに、別に意図はないってことか。
「……っ」
色々考えてた自分が、馬鹿みたいだ。
込み上がってくる虚しさに、きゅっと唇を噛み締める。
「ーーだから、忘れてくれないかな。あのこと」
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