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雨宿り
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"サエキくん"と分かれたその帰り僕は事故にあった。
丁度"サエキくん"に他愛もない電話を掛け、話終わった時だった。
相手が居眠りか何かをしていたせいで、交差点を渡っていた僕に車が突っ込んできた。
その結果僕は記憶を無くしてしまった上、雨の日には不定期に頭痛が起こるようになってしまった。
気がついたら真っ白なベットの上で。
最近の記憶はあるが、昔の記憶が無い。
体の至る所にガーゼや包帯があり、左足にはギブスがはめられていた。
何とも言えない不安感に押しつぶされ、自分の"今の状態"が受け入れられなかった。
家族は励ましてくれたが、余り効果はなかった。
しかし、時間の流れが心身の傷を癒したため、なんとかリハビリまでたどり着くことができた。
そして、退院の日。事故でぐちゃぐちゃになってしまった携帯の代わりに新しいのがきた。
この時僕はすっかり"サエキくん"の事を忘れていた。自分のリハビリで忙しく連絡を満足に取ってなかったからかもしれない・・・
当然新しい携帯に彼の番号が登録される事はなかった。
────────
あらかた僕が話終えると"サエキさん"はなんとも言えない顔をしていた。
「そうだったのか・・・。」
なんて呟いたまま俯いた彼をみて僕は話してしまったことを少し後悔した。
暫くすると、
「そうか、嫌われたわけじゃなかったのか。」
なんて言い出した彼をみるとはっとしたようにまた俯いてしまった。
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