アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
・
-
「このまま…この街に…?」
「そう。結構良い街だよ。この街全体に活気があってまぁまぁ楽しいしさ。それに君が居てくれたら俺はもっと楽しい」
「なんだよ…それ」
冗談なのか本気なのか分からない笑顔のユーリに俺は苦笑いを浮かべる。
でも彼は不服そうに真面目な顔をした。
「本気で言ってるんだよ?」
「…ありがと。でも……どうするか一晩考えてみるよ」
「考える?君さ、ペンダントの持ち主が何を思ったのかまだ分からないわけ?」
「っ……分かってる…つもり」
「本当に分かってる?そいつは、スバルに自分を忘れて欲しくて記憶を消したんだよ。そして今は"大切な存在"と一緒にいる。君の事なんか忘れてね」
こいつは会ってまだ数時間の奴だけど自分に正直な性格だというのは分かった。
それは時として他人を傷付け、相手は傷口を抉られる。……今の俺みたいに。
「あんたは……そんなに俺を引き止めたいのか?」
「うん」
「……なんで。俺はあんたが思ってる程面白くなんてないぞ。一緒にいたって…何の得にもならない」
「それは君が決める事じゃない。スバル。俺は君に興味があるんだ」
「俺の何に…」
「君の運命。俺の占いは百発百中だから」
俺はユーリの言っている事がよく分からず眉を潜めた。
俺の運命って……?
「まぁ、ゆっくり考えれば。君が何を選ぼうと俺達の縁は途切れない。絶対に。」
「ユーリ?」
予言滲みた言葉を残したユーリが部屋を出て行き、俺はまた一人になった。
運命。そんな物がこの世に存在するなら、こうやって俺が苦しむ事も決まってたって事か?
「なんだよ、それ…」
思考がどんどん深みにはまって悪い方ばかりに考えが向く。
俺はこんなに苦しんで途方もない旅をしてるのにブラッドは恋人と幸せに暮らしてる?
だったらそう言えばいいだろ…!
「!違う…っ、そうじゃない!どうしたんだよ俺……」
黒くどろどろした自分の感情が恐ろしくなって縋り付くようにペンダントを握り締めた。
そして不意にペンダントという存在の大きさに気が付く。
これは多分、ブラッドが大事にしていた物だ。
だったら俺が持っているべきじゃない。
「あんたが幸せなら……何だっていいよ、ブラッド」
この先どうするかはまだ決められないけど、明日からどうするかは決まった。
ブラッドに会いに行こう。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 118