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運命────。前にもユーリに言われた言葉だ。
でもそれが一体何を指しているかも分からないし彼の言い回しには裏がある。
ユーリは人当たりの良い笑顔とは逆に肝心な事は口にせず本心を見せない。
そんなユーリの姿勢が益々俺を不安へと陥れ、彼はそれを感じ取ったのか俺と視線の高さを合わせた。
「そんなに警戒しないでよ。俺はただ君と───っ!?これ……どうしたの?」
「え?」
何かに驚いた後、彼の目は酷く冷たいものとなり、明らかに声も低くなる。
何のことを言ってるのか様子を探っていると、頬にかかった俺の髪を横へ流したユーリの指が左耳で存在感を隠したピアスに添えられた。
「どうしたのかって聞いてるだよ」
「っ、ユーリ…?」
「答えろ」
普段とは違う強い口調の彼に困惑しながら俺は怖ず怖ずと口を開く。
「レオに…もらった。お守りだって」
「レオ…?それって琥珀の?彼にいつ会った?」
「あんたの街を出た後だよ。なんか妙な廃墟の街に迷い込んで……そこでレオが罠に掛かってたんだ」
「ふぅん……。深紅・翠碧・琥珀か……やっぱり君は面白いね、益々手に入れたくなっちゃうな────」
「っ──!離せよ!」
「これ、君には全然似合ってないよ。今すぐ外して」
ピアスをした耳をぎゅっと掴まれ痛みで顔が歪む。
それでもユーリは手を離そうとはせず、俺が手を振り解こうと彼の手を掴めばピアスを引き千切りそうなくらい力が増した。
「なんでッ…!?」
「君は何にも分かってない。俺達魔女が自分の石を他人に渡す事にどんな意味があるのか…。そろそろ気付いてもいいんじゃない?」
「っ!?」
意味…?だったらブラッドのペンダントにもやっぱり意味が…!?
俺がそれを問いただそうとした時、背後から近付く足音が聞こえてユーリが目を大きくさせた。
「!?あんた……まだ動けないはずだけど」
「そいつから手を離せ」
「──!!」
怒りが籠もるその低い声に俺は肩を大きく揺らす。
耳から頭の奥に染み込むその声を聞いたことがある。
いつ…どこで…誰の…?
何一つ分からない。分からないのに知ってる。
俺は呪縛されたように動かなくなった体で胸に熱いものが込み上げるのを感じた。
この人はきっと────
「ペンダント、返されたんだね?それなのに今更何の用かなぁ────ブラッド?」
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