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さっき街で聞いたのと同じ声の男は黒い髪を顔に垂らし、俯き加減にその隙間から深みのある赤い瞳を覗かせた。
その眼を見た瞬間、俺は心臓を掴まれた気がして痛みで眉を寄せる。
この人が……ブラッド。俺の会いたかった人────。
「嘘…っ!あんた、自分の命を削ってまで飛んできたわけ!?」
「俺にとっちゃ…こいつの代わりなんてどこにもいねぇんだよ…!」
「っ───、ふざけるな…」
小さく絞り出した俺の震える声が二人の会話に割って入り双方の視線を受ける。
だって矛盾してるだろ…。自分は恋人がいる癖に…!
「適当な事…言うなよ。俺の記憶から消えといて……調子の良い事言うな…!」
「スバルっ、俺の話を───」
「聞きたくない!!俺は…っ、あんたが生きてるって聞いたからペンダントを返したかっただけだ!あんたの幸せを壊すような真似はしないから……もう放っといてくれよ…!!」
本当は壊してやりたい。俺が苦しんでる分、ブラッドも苦しめばいいんだ。
そう思うのは間違ってる。
本当に好きなら相手の幸せを願わないと…。だけどそんなのは所詮綺麗事で、俺は心底こいつを憎んでる。
それがいつ口から出てしまうかと恐くなった俺はブラッドに背を向けた。
「……なんで俺が幸せだって言い切れる?」
「…!」
「俺がどんな想いでお前から記憶を奪ったと思ってんだ…!勝手なこと…ッ!」
「ブラッドもう止めなさい!あなたはまだ絶対安静でしょ!」
「っ!あ……」
怪我……してるのか?
予想外の出来事に恐る恐る振り返ると、腹部を庇うようにして身を縮ませたブラッドの肩をお姉さんが支えている。
顔色が悪く、額に汗を滲ませた彼はそれでも俺に真っ直ぐ視線を向けていた。
「お前がいないのに……、なんで俺が幸せだって言い切れるんだ…っ!!」
「っ──だって……あんたは恋人と…」
「…………は?」
「あー、スバル。それなんだけど~……」
「ユーリ。あなたまだ言ってなかったの…」
「…………え。なに…?」
何だか妙な空気になってきたが俺にはさっぱり分からない。
殺気立つお姉さんとブラッドに睨まれ、ただ気不味そうに笑ってるユーリが凄く印象的で……。
彼が何かしたのは俺の目にも明らかだった。
「てめぇ……」
「今すぐ彼に説明しなさい…」
「わ、分かったよ!……あのさスバル。リズさん…つまり俺が言った"大切な人"って言うのは、ブラッドの育ての親なんだ」
「……へ……?」
「ちなみに深紅の長でもあって、ブラッドの守護者でもある。ほら、俺達は狙われる事が少なからずあるから、その時に守る人って言うか……俺で言うとそれが姉貴なんだよ」
「…………へぇー?」
つまり………?完全に俺の勘違い……?
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