アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
・
-
「で、でも!俺が聞いた時、あんた否定しなかったよな!?」
「それはほら。俺、本気で君が欲しかったからさ。ブラッドにみすみす渡すには惜しいな~って。だから行くなって止めただろ?あのまま大人しくここに居れば───」
「ユーリ!!あんたちょっと来なさい!!」
「っ!痛い痛いって姉貴!!」
「ちゃんと説明して誤解を解く為に行かせたのに…この馬鹿弟っ!!あ。あなた達はここでしっかり話し合って和解してね~。行くわよ!!」
「わざとじゃないって!ちゃんとそのつもりで────」
俺はユーリの耳を引っ張るお姉さんに因ってバタンッ!っと力強く閉められたドアを呆然と眺めていた。
ユーリ達が出て行き、部屋に残るのは俺とブラッド二人だけになった。
……つうかなんで二人にするんだよ。
居たたまれない気持ちでブラッドに横目で見ると、眉間に皺を寄せて目を細める彼と視線が交わった。
「…………で。何か言う事は?」
「ゔ……、え…と…」
「勝手に勘違いして人の話も聞かずに逃げた奴が言う事は?」
「っ……ごめんなさい…」
口篭もりながら俺が謝るとブラッドが溜め息を吐く。
呆れたのか安堵したのかどちらとも取れない彼の表情を窺っていると不意に彼の足下がふらつき、俺は慌てて身体を支えた。
息を絶やしながら苦しそうにする様子から横になった方がいいと判断したが、彼の腕が俺を抱え込みそれを拒む。
「ちょっとっ、なに──」
「スバル……なんで返すんだよ…」
「え…?」
「俺の気持ち……分かってんだろっ…?なのになんで──」
「!?待てよ…、記憶がないのに…あんたの気持ちなんて分かるはずないだろ!」
混乱で忘れていた怒りが甦り声が荒くなる。
こいつは俺から記憶を奪っていなくなった。
そのせいで自分がどんな苦痛を味わったか思い出すと悔しくてたまらない。
「なんでペンダントを残していなくなったのか……、何か意味があるんじゃないかってっ、あんたを思い出したくて…っ、そしたらユーリが"生きてる"って…、だから俺…!ペンダント…大切な物なんじゃないかと思って…っ」
痛くて、辛くて、実際に会ったら益々好きな気持ちが大きくなって…。
彼の肩を掴み、勢い任せに次々と言葉が溢れ出る俺は自分でも止めることが出来ず、ブラッドは黙ったまま俺の目を覗き込んでいた。
身体が辛いはずなのに彼は柔らかく微笑み、それがまるで俺の想いを全て受け入れてくれてる気がして胸が熱くなった。
「お前、思い出した訳じゃなかったのか…。俺はてっきり、術の効きが不十分で解けたのかと思ったよ」
いつの間にか泣いていた俺はしがみ付いて声を噛み締めるのに精一杯で返事なんか出来なかった。
代わりに頭を横に振って答えると優しい手が宥めるように俺の背中をさする。
「俺の姿も声も分からないのに、よくあそこだと解ったな?」
「ユーリと…、レオのお陰」
「…ん?"レオ"?」
「うん…。レオがリズさんの家を教え──」
「"レオ"って琥珀のレオか!?お前何もされてねぇか!?」
「…………」
レオの名を出すとユーリ同様にブラッドも驚きを見せる。何でだろ…?
「別に……あ。その……訳ありで俺のを飲んだけど…。それ以外は良い人だった。"お守り"だって言ってピアスまでくれたし」
「今すぐ外せ」
「…………」
俺の髪を掻き上げてピアスを睨みつけるとブラッドまでもが鬼の形相に変化する。
なんかレオ……嫌われてる?
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
31 / 118