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浮ついた気持ち〈2/2〉(kyrt→usrt)
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うっしーと再会してから数ヶ月経った。
今でも、たまに他愛のないメッセージのやり取りをしている。
それが、惨めで寂しい俺にとって、一番の逃げ場所だった。とても、居心地が良かった。
俺だって、寂しさを紛らわす逃げ場がないとしんどいもん。
うっしーとは、メッセージのやり取りの中で
俺には、キヨくんという彼氏がいること。
だけど、少し不安があるということを思わず話してしまった。
あの夜は本当に惨めすぎて、寂しすぎて誰かに言わないとおかしくなりそうだった。
本当は、お泊まりのはずだったのに。一緒に居たのに、キヨくんは行ってしまった。
悲しくて、辛くて、怖くて、、
その時、ふと思い浮かんだのがうっしーの顔だった。
『助けて』
その一言だけメッセージを送ると、うっしーは、すぐに電話を掛けてくれて優しく俺の話を聞いてくれた。
寂しさは変わらないけど、1人で泣くよりよっぽど気持ちが楽だった。
そして、相変わらず、今夜もキヨくんは誰かと遊んでいる。
ーピコンッ
牛『レトルト〜』
あ、来た。俺が寂しい時に限って連絡をくれる。
超能力者か何かかな?それとも二人がグルとか?
そう思うくらいに、うっしーは、俺のスカスカに空いた心の隙間を埋めてくれる。
『何〜?』
牛『今日、俺お前の家の方に用事あってもうすぐ家の近く通る』
牛『ちょっと会おうぜ』
えっ!?嘘…、待って。
これはダメだよね。行ったら終わりだよね。
『今動画編集してる』
牛『後で出来る』
『そーだけど』
牛『俺に会いたくない?』
『そんなことない』
やばい。
牛『久々にまた話したい』
『俺も』
やばい。本音が止まらない。
牛『じゃあ、会おうぜ』
『でも、髪とかボサボサだし』
やばい。言い訳が思い付かない。
牛『そんなの気にしねーよ』
牛『とりあえず、お前の家の近くのコンビニに車止めてる』
やばい。もうやめて。
『もうすぐお風呂入るし』
牛『レトルト』
牛『おいで』
あぁ、もう、ダメだ。
『うん、行く』
もう、止まらない。止められない。
準備もそこそこに、急いで家を出る。
エレベーターなんて待ってられなくて、階段を駆け下りる。
あぁ、どうしよう。こんなのダメだよね。
でも、友達と会うだけ。キヨくんがよくやってる事だよね。
大丈夫だよね 。
「うっ、しー…」
牛「おせーよ」っとクシャッと笑う。
牛「とりあえず入りなよ」っと言いながら助手席をポンポン叩く。
「ありがと」
ドアを開けた瞬間、フワッと好きだった匂いが俺の鼻を掠める。
「久しぶり」
牛「ん、久々」
優しい笑顔に、低い声。
懐かしさで、胸の奥がキューっと苦しくなる。
「へへっ…」
牛「どした?」
頭をポンポンとされる。
これ、好きだったなぁ…。
「ん、いや、まさか、またこーやって会って話せるなんて思ってなかったからさ」
牛「確かにw お前、俺のこと避けすぎなんだよw」
次はほっぺたをムニーッとされる。
自分でも分かる。すごくドキドキしてる。
「し、仕方ないじゃん!」
あぁ、今日の俺はきっとおかしい。
「ねぇ、久々にぎゅーってしていい?」
牛「いいよ」
優しくはにかみ、手を広げてくれる。
その胸に俺は飛び付いた。
「…久しぶりだね、うっしー」
牛「そーだな。どう?久々に俺とぎゅーってするの」
「懐かしい気持ち。んーー、好きだった匂い〜」
牛「いい匂い?」
「うん。すっごい好き」
もうストップボタンなんて見当たらない。
そもそも存在していない。
牛「それはどーも」
うっしーも、だんだん顔を近付けてくる。
キス……しちゃう?
ートンッ
おでこを合わせただけで何もしてこない。
少し不満そうな顔をすると「だーめ」っと低い声で囁かれた。
そんなの、ずるい。
少しだけ抱き締める力を強くすると、今度は鼻を擦り合わせてくる。
もう、ほんっとずるい、、
「ね、うっしー…」
牛「何?」
「……」
キスして。なんて言えなくて、黙って目線で訴える。
牛「ダメだって。口はダメ」
そう言って頬にキスをして軽くあしらわれる。
ずるい。
モヤモヤした気持ちを残しながら、話は弾む。
「……あ、そろそろ帰らないと」
牛「そーだなぁ、俺もだわ」
「ありがとね」
牛「いや、こっちこそ」
「ねぇ、最後にもっかいぎゅーってしていい?」
牛「いいよ、おいで」
「ありがとー」
当分会えないだろうし、匂い覚えておこう。
「ん、もう十分。会えて良かった」
パッと離れたその瞬間。
ーーキスされた。
「っ…!?」
牛「俺も会えて良かった」
「うっしー、、今…!!」
牛「ん?なぁに?レトルト」
あぁ、もう、もう、もう、、!ダイスキ。
嬉しくなって、俺からもキスをする。
「じゃあね、おやすみ。うっしー」
牛「ん、おやすみ。レトルト」
そう言って車から降り、マンションへと帰る。
あぁ、ついに。ついにしてしまった。
もう戻れない。消せない過去。
でも、不思議と後悔は無い。
ただ、とろけるように甘く幸せな気持ちでいっぱいだった。
ーーあぁ、どうかこの浮ついた気持ちがバレませんように。
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