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第四章:この気持ちは…?
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遊女1「真冬、あんた最近笑顔が増えたねぇ」
真「そう?かな…?」
遊女2「あぁ!そうさ!お前さんは笑っている方が性にあってるよ」
遊女1「それにしたってあんなに元気がなかったってのに急にどうしたんだい?」
真「前と変わらない気がするけどなぁ」
遊女1「あの色男のおかげかい?」
そらるさんの話題を持ち出して二人は僕をからかい始めた。
遊女2「おやまぁ!そうだったんだねぇ あの男と床入りした日からやけに元気になったと思ったら」
真「な、何勘違いしてるの?!」
遊女1「勘違いなもんかい そうなんだろ?」
二人はにやにやしながら言ってくる。
真「さっきから『そう、そう』って何がそうなの?!」
遊女1「惚れちまったんだろ?あの男に」
真「はぁ?!///そんなわけないよ!もう!」
僕は見世を抜けて走り出した。
遊女2「おやおや、行っちまったよ」
遊女1「素直じゃないねぇ」
かなり走って大門近くまで来たときに誰かとぶつかった。
真「わふ?!も、申し訳ございません」
?「ん?あっ」
真「ん?」
そこにいたのはそらるさんにだった。
空「真冬?ここで何してるの?」
真「な、なんでもござりんせん」
空「真冬の見世はもう少し奥でしょ?」
真「さ、散歩でありんす!」
見世から抜け出してきた理由を素直に話すのは恥ずかしかったので必死に誤魔化した。
空「ふはっ散歩って、誤魔化すのが下手だね」
真「誤魔化してなんか…」
否定しようとしたら不意に手を繋がれた。
真「なんでありんすか?」
空「手、繋ぎたいなって思って」
真「……///」
空「このまま吉原から逃げ出す?」
真「?!何言ってるんですか!!そんなことしたら貴方まで酷い仕打ちを受けますよ!?」
僕は冗談でもそんなことを言うそらるさんに激怒した。
空「ご、ごめん とりあえず見世行こ?」
真「わかりんした…」
少し歩いて見世に戻るとすぐにそらるさんが
空「買わせてもらいます」
そういい部屋へ行った。
空「さっきはあんなこと言っちゃってごめんね?」
真「もういいですよ…」
空「絶対良くないじゃん まだ怒ってるでしょ?」
真「……そらるさん、知ってますか?金を払わなかったり駆け落ちしようとした遊女と男がどうなるか」
空「どう、なるの?」
真「いっそ死んでしまった方が楽だと思うような拷問に会ったり酷ければ殺されてしまうんですよ」
桃源郷吉原の裏の顔をそらるさんに話した。
真「気づきませんでしたか?あなたが逃げようと行ったときに回りの目が鋭くなったこと…」
空「気がつかなかった…」
真「そうですか…二度とあんなことを言わないと約束してください」
空「うん、わかった ごめんね?」
すごく申し訳なさそうな顔をするのでこちらも申し訳なくなってしまった。
真「もう怒ってないから大丈夫ですよ?僕も大声あげてすみませんでした」
空「よかった…真冬に嫌われたら落ちんで立ち直れないと思うから」
そらるさんは安心したようにそう言った。
僕がそらるさんのこと嫌うはずなんてないのに…
真「そらるさん、僕、前よりかはそらるさんのこと好きになりました」
空「ははっ前よりかはなんだ」
真「はい、前よりかはです」
僕たちは声を上げて笑った。
いつぶりだろうか。こんなに笑ったのは。この人といるとすごく楽しい。
僕にも人を愛せる日が来るのだろうか。
来なかったとしても、この人と『今』を共にできるならそれでいいか。
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