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41話
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逃すまいとさらに力を入れられた腕が軋むのがわかる。
驚いて「いっ...!」と声を出してしまう。
それでも力は弱くならず、左手で真空の手を掴んで引き離そうとした。
「やだ!真空、放して‼︎」
「放したら逃げるんでしょ⁉︎
だいたい今までどこいってたんだよ‼︎」
僕と真空が叫びだすと周りも騒ぎだす。
でも今はそんなこと考えられないくらいに動揺していた。
「どこにいたのか」という問いに答えられず、涙目になるばかりの僕を見て真空は
「もういい、帰ろう。」
と冷たい目で言い放つ。
それを聞いてヒュッと喉がなった。
「...い、嫌だ!帰りたくない......‼︎」
引っ張られる力に全力で抵抗する。
でも真空の力に勝てない。
だめだ、帰りたくないそう思うといろんなものがこみ上げてきて、気がついた時には叫んでしまっていた。
「...先に、先に僕を嫌ったのは真空だろ‼︎
だから家を出たのに、なんで今更そんなこと言うの⁉︎」
「ッ...兄さん!」
「そんなに僕のことが嫌い⁉︎
そんなに僕の幸せが許せない⁉︎
僕がなにしたって言うの!」
ボロボロ涙が溢れてきて口が勝手に動く。
あの家でのことを思い出すだけで辛い。
なのに連れ戻そうとする真空の気持ちが理解できなかった。
「ちがッ」
「なにが違うの⁉︎
もう僕からなにもとらないでッ‼︎」
力一杯右腕を振って真空の手を振りほどく。
そしてそのまま逃げるように走り出した。
後ろで僕を呼ぶ声が聞こえたけど、振り返らずに走った。
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