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10月に入る。
学校内は、初週にある文化祭の準備で忙しく賑わっていた。
ちなみに今年俺のクラスの文化祭実行委員は、ヒビヤンだ。
なぜなら俺が事前にクラス中に、ヒビヤンを実行委員にしてやろうぜと根回ししておいた。
俺が去年ヒビヤンに嵌められた可哀想すぎるエピソードを、かなり脚色して話したらみんな喜んでのってくれた。
間髪入れずに沸き上がった拍手に「…うそーん」と引き攣ったヒビヤンの顔を見れて、俺は積年の恨みを晴らしたかの如く大いに満足した。
「た…高瀬くん文化祭実行委員じゃないの…」
そして真島はなぜか立候補で文化祭実行委員になったらしく、大ショックを受けていた。
なんで俺がニ年連続で実行委員をやると思ったんだ。
そんなわけで昼も忙しい文化祭実行委員なんかになってしまった真島と、余計に時間が合わない今日この頃。
俺は昼休みに貞男に呼び出しされた。
なぜか体育館裏という場所指定で、アイツは果たし状でも俺に送りつけるつもりか。
「よく来たな」
よく分からんがラスボス前の四天王的雰囲気を醸し出した貞男が、体育館裏で仁王立ちしていた。
「来たけどとりあえず弁当食おうぜ。腹減った」
「なっ…お前はまたそうやって人のことをおちょくって…」
なんか赤い顔してプンスカ怒り出したから、腹が減っては戦ができないだろ、と言ったらそうかとすんなり納得して貞男は弁当を取り出した。
戦するつもり満々かよ。
体育館裏の石段で二人並んで飯を食う。
なんでこんな薄暗いところで飯食ってんだ俺らは。
ちらりと貞男の弁当を見ると綺麗な彩りのサンドイッチで、なるほど普段は母親がちゃんと作ってくれてるんだな、とどうでもいいことに気付く。
と思ったらじとっと貞男の視線を感じた。
「…奏志の弁当」
物凄く羨ましそうだ。
「すごいだろ。アイツ料理の才能あるよな」
「奏志は何の才能だってあるよ。お前が知らないだけだ」
ピシャリと臨戦態勢な返答が帰ってきた。
なんでこんなに機嫌わりーんだ。
弁当食い終わって、さっさと要件を言えと促してやる。
まあ間違いなく真島の事だろう。
「奏志がお前の様子がおかしいと心配してた」
やっぱりそうか。
もう予想しすぎて、答えも用意しておいた。
「俺が気まぐれなんて今に始まったことじゃねーだろ。今さら何言ってんだ」
いつも通り鼻で笑って返してやる。
貞男は苛立った顔で俺を睨む。
「お前は最低野郎だ。それは変わらねえ。だけど最近のお前は、ちゃんと奏志の事を考えてたんじゃねーのかよ」
「…そりゃ一応付き合ってるからな。考える時もあるだろうよ」
「もう面倒くせえからハッキリ言え。――お前、奏志のこと好きなんだよな?」
単刀直入だ。ド直球だ。
貞男らしい。
「好きならなんだよ。真島に優しくしてやれってか?卒業式に別れんのに?」
「お前が奏志と別れてくれるのは大賛成だ。だけどな、アイツを弄んでいる事に関して黙っちゃいられねえ。奏志の事が本当に好きなら、心配させんな。ちゃんと向き合って付き合え」
「…なら残念ながら俺は、お前が考えてるほど真島を好きじゃないって事だな。これでいいだろ。話は終わりだ」
あっさりそう言って立ち上がる。
コイツに深入りして話しすぎると、真島に余計なことを言われる可能性がある。
それだけは避けたい。
「――待てよっ」
ガッと腕を掴まれた。
どうやらまだ言い足りないらしい。
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