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屋上のエレジー
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「逢坂ァ!!!!」
逢坂 悟(おうさか さとり)
問題児中の問題児
「はぁ、うるっさいわんこ。
で、誰。」
屋上の真ん中で眠たげな目をして居るそいつを睨む
「お前がこの間通りすがりにボコった蓮二の友達だ!」
「…で、なんの用」
「〜!!!っまえ!
謝れ!!!!蓮二にも今まで理不尽に絡んだヤツらにも!!!」
「偽善者。」
俺の本気の叫びに対して
薄ら笑いすら浮かべてる
「はぁ!?」
「そんなことしてお前はどうしたいわけ。」
「ごちゃごちゃ言ってねぇで早く謝れ!!!」
「一応聞くけど、謝らなかったら?」
「蓮二と同じくらいボコる!!」
俺だって自分の腕に自信はある
「…同じくらいボコられる
でしょ?」
「っだとてめぇ!!!!」
俺が何度振りかぶってもひらひらと紙一重で避ける
「単純だね。
性格も拳も。」
「るせぇ!!」
「愚直で、ひたすらまっすぐで
太陽みたいなやつ」
「?!」
なんだか悲しそうな顔して笑うから
一瞬驚いて動揺して、体が傾いた
その瞬間
逢坂の左足が飛んできた
「っぐ……」
地面に背中から倒れ込んでヒリヒリと痛む
「ほら。
あの程度でお前は動揺するんだ」
「…嵌めたのか」
「違うよ。
本当のことだろ」
「……お前が俺の何を知ってんだよ」
「少なくとも打算的な奴は俺の前に丸腰でなんか来ない」
「ちっ…分かったよ。
今日は俺の負けだ。殴れ」
腕を縫い付けられて身動きができない俺は覚悟を決めるしかない
実際逢坂は強い
俺を動揺させなくたって勝てるはずだ
「潔いいね
けど、今それよりしたいことあるんだよね」
「は?」
上2つ開けっ放しのワイシャツのボタンをプチプチと外していく
「大丈夫だから」
「おま、なにして!!!」
「大丈夫。
大人しくしてれば」
「は…」
次の言葉を喋ろうとした口に何かがかぶさってきて口内を撫でる
「んっ!…んぅ、ゃ……っお…ひゃ、かぁ…ん…はっ」
頭のなかで水音が延々と木霊する
身体中の力が抜けてただボロボロ涙だけ流れていた
そのあいだもプチプチと外され、さらにはベルトにまで伸ばす手を力無く掴んだ
「名前は」
「ぇ…?」
「あんたの。」
「みさき…亘理 泉咲(わたり みさき)…」
「…みさき」
名前を呼ばれた瞬間さらに目の前が霞んだ
はだけたシャツの中に指が這って
擽ったさと恥ずかしさに身悶えする
ペロリと涙を舐めてまぶたにキスをされる
「大丈夫」
不思議なくらい
面白いくらい
悟が白かった
唇を何度か食んで
首筋を吸われて
はだけた体に無数のキスを落とされて
段々下りていく
「お、さか…っ」
ダメだと見つめても大丈夫と撫でられる
拘束されていたはずの両手はいつの間にか悟にしがみつくようにシャツにシワをつくっていた
「みさき
俺の目、見て」
スラックスごと下ろされて外気に晒されたソレを
白い、長い
今までたくさんの人間を殴ったその指が包む
「あ、だめ…だめだってまってっ」
ゆっくりと既に少しの熱を持ったそれを緩く、柔く愛撫する
「んっ…く…っぅ……っゃだ…」
頭を自分の胸に押し付けるようにぎゅっとしがみつく
「ね、みさき
名前、俺の。」
目が合って噛み付くようなキスをされる
「ぅ…っ、に…さ、とり」
満足そうに笑む悟にこんな顔もするのかなんて思う
激しく優しい熱に浮かされて
おかしくなってるだけだ
「…痛くない方がいい?」
当たり前だとコクコク頷く
「分かった」
そう言って悟が触れてきたのは
「そ、こ!だめ!やだ!」
「…痛くない方がいいんでしょ?」
「でも……でも…」
「大丈夫」
指を舐めてそっと押し開くように触られる
ただただ擽たくて恥ずかしくて
目を瞑った
「力、抜いて」
「っ…!ぁ…だめ…ぁ、っやぁ…ぅ」
侵入してくる指は悟のモノ
白くて長い綺麗な手
撫でるようにゆっくりと動かされる
「あっ!!…ってぇ…んっんぅ」
指が何かを掠った瞬間跳ね上がるほどの快感に襲われる
やめて、と言っても言葉にならないしきっとやめてくれない
自分から腰を振るようになる頃にはもう自然と指は増えていた
「挿れるよ」
「さとりっ…」
俺の前髪をぐしゃぐしゃと撫でて足を持ち上げる
そしてキスをしたまま
「んっ…ぅう…」
「力抜いて
…キツい」
ゆっくりと侵入してくる質量を伴う熱に
「…は、ま…て……ふ……ぅんっ…」
内臓を焼かれる
「入った」
ボロボロこぼれる涙をまた少し舐められて
薄く笑う悟と目が合う
自分の体に悟のが入ってる
「動くよ」
もう何も言えない
息を詰めて悟の背中にしがみつく以外
何も出来ない
「っ!ぁっ……あぅ…はっ…」
「…っみさき」
名前を呼ばれるたびゾクゾクと背中を快感が駆け巡る
脳を痺れさせて思考力を奪われる
やがて中に吐き出されれば
覚める
思い返す
どうしてこうなった?
「…………」
どれほど時間が経ったのだろうか
中を掻き出されシャツのボタンまで閉められる
「みさき」
声にもう糖分は含まれていない
「…………」
「怒ってる」
「あぁ。」
「…みさき」
「っ呼ぶな!!!
何のつもりだ!!!!」
「…なんのつもりなんだろう」
この男は自分に挑んだものに対してこういうことをする男なんだ。
誰にでもできる奴だ
「っまえ!ふざけるのもいい加減にしろ!!」
俺であったことに意味は無い
屋上の扉が外れるんじゃないかという勢で教室へ戻った
心配そうに寄ってきた蓮二が怪我ひとつない俺に不思議な顔をしながら
空気を察して話しかけては来なかった
腫れ上がった顔は見ていて痛々しい
…何もしてない奴に手を上げるなんて
やっぱりまともじゃない
「…おい!!!逢坂ァァ!!!!!!
今日こそお前に勝って謝らせてやる!!!」
「は、なに?
またきたの?みさき」
「おう!お前がみんなに謝るまでここに通い続ける!」
「はっ、へぇ
いいよ。そういうの」
「またごちゃごちゃと…!!!」
拳はまた紙一重で避けられる
ならばと繰り出した攻撃が悟の左の袖口を掠って素肌が見える
はず、なのに
そこにあったのはぐるぐる巻の白く、そして赤い包帯だった
「っ!!」
左腕を隠すようにして飛び退いた悟の額には汗が滲んでいる
「お前、それ…」
「…るさい……今日はもうおしまいだ…帰れ……」
「っでも!」
「亘理。」
心臓を握りつぶされたような衝撃が走った
「…みさき、俺今日は少し…体調が悪いから」
「あ、ぁ……そう、だな」
体調不良の人間に手なんて出せない
フェアじゃない
それに、今日は俺も
あまり気分が良くない
そう、だから…帰ろう……これはいいわけじゃない…
決してショックを受けたりなんてしていない……
「なぁ、知ってるか
うちのクラスの悟っているだろ?
母子家庭のネグレクトで育ったらしい」
「あっ知ってる!それって……」
悟りの家庭事情なんて気にしたことなかった
あの傷は、悟の……
ガチャ…ギギギィ………
「…」
口を真一文字に結んで寝息を立てる顔は
凛々しくて男らしいが、どうしようもない幼さがあった
脱色して傷んだサラサラの日に透ける髪を撫でてみる
どうしてこんなに悲しいんだろう
ワイシャツの左腕を捲る
解けかけた包帯が風にはためいている
縛り付けられてなお逃げたいと、死にたいと願う悟の様だった
包帯をシュルシュルと解いていく
赤く黒く青く
ただただ痛々しいそれは
鋭利な、傷
リストカット、なんてもんじゃない
血管に沿ってついてる傷はまだ乾ききらない血液を垂れ流したまま
まるで涙だ。
「何見てんの。」
「っ、さとり…」
「お前も、かわいそうとかそういうの思うわけ?」
「…さと…」
「いらないんだよ!!!
そういうのが1番!!!!!!!!」
「っ!」
「憐れむだけで何もしないくせに!!!!!!
俺が!!!俺が!!!!!!!!
もし、もっと!!!!!!
……もっと…あは…例えば、お前…みたいな……友達が、いて…毎日………笑うことが出来てたら…俺…きっとこんなんじゃ……なかった…っのに……な」
激しく爆発した悟の感情
でも、最後は
花火のように、儚い。
「悟、俺…お前の友達に」
「無理だろ」
儚げに笑う悟は病的なまでに白くて、白くて
「なんで…そんな……」
「俺、お前と友達にはなれないよ
そんな感情、抱けない」
「俺、のこと………嫌い、か」
「そうじゃないから
困るんだよ…」
何度も人を殴った手で
それ以上に自分を傷つけた手で
俺の頬をそっと包む
子守唄を歌うようにそっと目を瞑って
「嫌いじゃ、ないから
困ってるんだよ
こんな気持ちになったら
大事になっちまうよ」
目を閉じたままそっと呟くように言った
「悟…俺、俺!!明日も!来るから!!
俺、お前に会いに来るから!」
「……」
何も言わずに、悟はただ、柔らかく笑っていた
「突然だが逢坂 悟が転校することになったーーーーー」
なんで
おれ
お前のこと
嫌いじゃなかったのに…
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