アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
華咲く
-
セックスとは
交尾である
うさぎやイルカなどは同性で行うこともあるが
大前提として、男女、雌雄で行うものである
生殖活動
子を成す為の行為。
「よって、俺は意味のあるセックスしかしないの!!
子供を産める体にしか興味ねぇよ!」
そうカルマは言う
人として、いや生物として正常だ。
それにこんなことを堂々と言ってもモテる
顔は悪くないし、それに人を大切にする
まぁ、これで女癖が悪くなければ完璧なんだろうけど
「お前はいつか女の子に刺されて死ぬだろうね。」
自室の窓の木枠に置いてある小さな鈴蘭に水をやりながら半ば呆れて言った
「はっ、俺がその程度で死ぬと思ってる?
ま、お前だって好きなやつの1人2人は居るんだろうし分かるだろ」
「……ふ」
「あ、そういやアキ、またアレ頼めねぇか?」
アレ、とは女装だ
俺が女装すれば人が集まるらしい
それを目当てに来た男で女を釣って合コンを開くと言う
まぁ俺は行かないのだけど
要するにカルマの部屋で適当なワンピースにでも着替えて写真を取ればそれでいい
「まぁいいけど」
俺としては、カルマと一緒にいられるのならなんでもいい
どうせ恋愛対象にはならないし
それなら俺は親友という立場に徹する他ない
「へっへ
こんなのを用意してみた」
「うわ」
カルマが持ってきたのはフリルのあしらわれたオフショルダーのワンピースで
腰にはコルセットが付いている
思いっきりカルマの趣味だ
「………どう?」
こういう時のためにではないけど肩下まで伸びた髪を下ろしてふわりと回ってみる
「…う、わー……」
口に手を当てて眉根を寄せてる
流石に似合わなさすぎたか
「な、何その反応…もう脱ぐ………」
「い、いや!!待て待て!
……本当に女みたいだ…お前…」
慌てて取り繕うカルマの頬は赤かった
「………好きになりそう?」
「…マジ、やばい
可愛い顔してるもんなー…
これで女に生まれりゃあなぁ……………」
そう。
だけど俺は女じゃない。
「……写真撮ったらすぐ脱ぐ」
「待てって!
とりあえずちょっと脱がずにそのまま俺の隣に座ってみてくれよ!!」
叫ぶようにそう言って俺の手を掴む
「…?
うん…俺、かわいい?」
「かわいい…その変のやつよりずっと」
「……へへ
そっかぁ…」
真剣な顔していうもんだからほんの少しだけ夢を見る
「……照れ、てんの?」
「…別に…そんなことないけど」
「お前いい匂いするな
シャンプーか?」
「…っちょ、まってよ
近づき、過ぎ…?じゃないか…?」
髪に顔を埋めてすんすんと嗅いでくるのが恥ずかしかった
「…お前が女ならな」
「……そっか」
うん。
恋愛対象でも何でもないのに自意識過剰だ
…………俺は男なんだから
「ちょっと、こっち向いて」
10センチほどの距離で目が合う
そらせない逃げられない
「え……ぅ…やっぱ、女じゃなくても…近くないか……?」
「は?そんなことないだろ
もし女なら、このくらい近づいてから」
「んっ……!」
「こうやって、キスするけどな」
唇にキスをされた
ちゅ、と啄むような小鳥みたいなキスを
「っ俺!女じゃない!!
ぉ…まえ、な…なに考えて………?」
「男とだってふざけてキスくらいするだろ?」
「………俺は、しないよ…ふざけて………キスなんて…」
「……アキ」
「俺、もう帰る
もう写真くらい撮ってるだろ?
………彼女、できるといいな」
「……ごめんアキ…俺…」
「もう、いいから…」
「アキ……」
握りしめたスマホのアルバムを開く
そこはほぼすべてアキの写真で埋め尽くされている
アキ
アキ…
俺の恋はこんなにも不毛だ…
無意味でどうしようもない……
こんな俺でもお前は友達だと言ってくれるか?
アキ
〜♪
〜〜♪
「はい」
「カルマって、知ってるよね?」
「…どちら様?」
「大事?」
「は?」
「大事なら今から××の倉庫においで」
「は?ちょっと……」
そこで電話は切れた
「…っカルマ!」
いつもは冷静な俺が何も考えずに走っていた
その倉庫はいつも俺とカルマで悪いことをしたりする時よく使っていた倉庫だった
カルマがいる可能性だって高い
「っカルマ!?」
「あ、きたきた
ねー、アキって子の事なんだけど…知らない?」
「……知らない」
恐らく女装した俺のことだろう
肩まである髪は今は縛っている
大丈夫、バレない…。
「ってか、似てない?」
「いや、そんなやつ知らない」
「じゃあ君はなんていうの?」
とにかくここにカルマはいないようだ
適当や嘘をついてとっとと帰ろう
「……サワダ ユウヒ」
「嘘だ
君達の行ってる学校にサワダ ユウヒはいないよ?
んー、俺はさぁ
ヤラ アキの番号に掛けたつもりだったんだけどなぁ
…もしかして、女装でもしてた?」
適当な嘘じゃごまかせないか…
「…違う
しらない…。」
「…嘘ついてもいいことないよ?」
「本当に知らない」
「そいつ抑えて」
「っ、離せ!」3回
「……あー、やっぱアキちゃんじゃん
本物の方が綺麗だなぁー…」
「…離せ!」
「いやぁ、てっきりカルマの彼女だと思ってた
あいつ君の写真山ほど持ってるもんだからさ」
「え?」
山ほど?
今までにだって数枚しか……
「あ、違うか
ストーカー?
だって、あいつ頭おかしいぞ?
写真で見たアキちゃんにベタ惚れしちゃったヤツいて
いろんな人間に聞き回ってたんだけど
…そいつ今どうしてると思う?」
「…は……?」
「病院だよ
ヒヤマ カルマにやられて昏睡状態」
「リョウマさんはただ、話したいと思っていただけだったのに
俺らの憧れだったのに………」
「…う、そ………だ」
だってそんなの知らない
俺は………だって…!
「本当。
警察にも言ったけど証拠不十分だってさ
理不尽だよなぁ?
恋しただけで俺の友達半殺し
おかしいと思うよな?」
「…カルマは、そんなことしない……」
優しいのは俺が1番知ってる
「………ふぅん
ずるいね。
君はカルマが好きなんだね?
じゃあ、常識的に考えて…片思いで半殺しなら
両思いは殺しちゃっても、いいんだよね」
ニヤリと口角は上がっている癖に目だけが笑っていない
「それじゃ足りないですよ!
あ、そうだ!こいつここにいる全員でまわしてやりましょうよ
それから殺して、カルマのやつを呼び出すってのはどうです?」
舎弟っぽいのもなんか喚いてる
「あぁ、それ採用
男でもこの顔ならイケるだろ
じゃ、まずお前いいよ」
「っ………クソが」
「そっくりそのままお前とカルマに返してやるよ
泣きたかったら大声で無様に泣いてもいいぞ
全部撮ってるから」
カメラの電源を入れ
顔のどアップを撮っているらしい
「…るせぇ」
「こいつ、泣きもしないし表情も変えないですよコウヘイさん」
「………俺らを楽しませてよ」
誰がそんなことしてやるか
「じゃあ、仕方ないよね。
本当に殺すつもりはなかったのに
楽しませてくれないのが悪いんだからね?
ケイ、ヨシミ呼べよ
あいつもあの写メ見てんだろ
好きにしていいって言やすぐ来んだろ」
「はい」
「……」
あー、もうカルマに会わす顔ねぇな
そのまま殺されるってのもなんか癪だ。
…痛い
痛いよカルマ………
あー、伝えられ…なか…た……な、ぁ
「…!!!…き………!!!
アキ………アキ!!!!!!!!
起きろアキ!!!」
カルマが、呼んでる
俺を……
カルマ、あいたい
あいたい
「アキ!!!
なぁ起きろってアキ!!!!」
「…………あ、カルマだ」
「…アキ……アキ、よかった…もう、起きないかと思った」
「……俺、がこの程度で…死ぬと思ってる…?
俺、男……だよ…」
グズグズに涙を流すカルマの頬に手を伸ばした
はずだった
「?………あ、そっか
…無くなっちゃったんだ」
呼び出されたヨシミという男に切り落とされてしまったのを思い出した
それも、すぐに死んでしまわないように止血しながら
あと、逃げないようにアキレス腱も切られた気がする
あ、動かない。これ切られてるなー
それと脇腹も抉られてる
カルマの顔が良く見えない
もしかして目も潰されたっけ
真っ先に思ったのはカルマの涙を拭いてやれない
で、次に思ったのがあー、悲しませる親いなくてよかった
これからどうやって生きよう
だった。
案外自分の人生というものに対してドライだとは感じたけど恋愛すら無理ゲーだったんだから今更人生が詰んだところでどうも思わない
あー、いや
カルマにもう会えないってのは少し寂しいかな
あーあ、もうどうしようか
「ごめん…アキ、全部……全部俺のせいだ…………全部、俺の…」
「?あー、いや…そんなこと…ないんだよ
俺も……調子に、乗って…た」
不思議とそんなに痛みはなかった
ただ、寒かった
「大丈夫、大丈夫だから
もうすぐ救急車くるから」
そう叫ぶカルマの背後に
血みどろの男達が折り重なってた
「…ん、ありがと」
少し眠たい
俺がもし鈴蘭のように純白の花ならば、カルマの子を孕めたのだろうか
「……」
「目が覚めたか?」
真っ白な病室に俺は居た
「…カルマ?」
俺はあちこち包帯だらけで、いろんなものに繋がれてた
「…よかった
意識が戻らなかったらどうしようかと思ってた」
「……俺どのくらい寝てた」
「…ひと月」
「よかった…もっと長いかと思った」
身体中ズキズキ痛むし動かすなんてもってのほかだった
「……ごめんな、アキ」
「お前を1人には出来ないもんな」
「……生きててくれてありがとう…本当に…」
「…」
「俺はお前が居ないと生きていけない」
「嬉しいな
そんなこと言われるなんて
そういうの、恋人にだって言わないくせに」
「……あれが恋人なら、お前は愛人だな」
「何を言い出すかと思えば」
「…あいつらを愛したことは無かったよ」
きっとこいつは俺の面倒を見ようとしてるだろう
金は一生あっても使い切れないほどある。
俺とカルマは少し特殊な孤児で、まぁなんというか
自らこの人生を選んで一緒に居るようなもんだった
ここで決別しないときっとカルマの人生を台無しにする
「ふふ、俺がそんなに愛されているなんて思わなかったよ
でも、カルマ
お前とはもう一緒には居られない」
「…俺が悪いのは理解してる!!けど俺は…!!!」
「いや、一緒に居たくないわけじゃない
お前に迷惑かけるの
嫌なんだよ。」
「そんな、俺が全部面倒見る!!
俺が責任取る!!!」
「…………目も見えない歩けないおまけに手だって片方ないんだ。
俺はお前に何もしてやれないよ。
それが嫌なんだよ」
「何もしなくたっていい
俺はお前がいればそれでいいんだよ!アキ!!!」
「でも、でもだって!!!!
お前にも好きな人がいて!!!なら俺はその邪魔にしかならないだろ!!!!!!お前が結婚したいと思う相手ができた時、俺は邪魔でしかないだろ!!!!!!
そんなの嫌なんだよ!お前の荷物になるのも、お前の幸せを、見てる事しか出来ないのも!!!」
「アキ」
「…この際だから言うよ
俺はお前が好きなんだよ!
親友としてじゃない!!
キスだってセックスだってしたい!!
引いたか?これが俺の本音だ!!
だからお前が幸せになる邪魔なんかしたくない!!!!」
「……………アキ…?」
「…ほら、分かっただろ?
……分かったら、出てけよ」
「……アキ…俺」
「気持ち悪いだろ」
「………」
「…」
「俺、さ…今まで告白なんかしたことなくてさ
本当に好きな人からは告白なんか貰えないんだけど
告られたらそのたび流れで付き合ってはセックスして
俺のしてる恋は不毛で無意味で、不自然だった
アキは親友で大事で楽しくて
その関係に甘んじてミスった
俺はお前が好きなんだよ…?」
「……………嘘だ」
にわかには信じ難い
…そう言えば俺を呼び出したあいつらもおかしなことを言ってた
「……どっちかというと半分ストーカーみたいなもんだった
今のタイミングで言うのは卑怯かもしれないけど
好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで仕方が無いんだ
失うのがどれほど怖かったか…」
「………俺を、憐れんで…………嘘…ついてる……?」
「……嘘だと、思うか?」
「だって…でも…………俺、こんなの……夢…?」
「本当。
じゃなきゃキスだってしない
…だろ?」
「ありがとう、でもだめだよ」
自分の命が一滴残らず奪われる
純白の鈴蘭は孕めたのだろうか
愛しい誰かの愛を抱き締めることはできたのだろうか
「アキ!!!!!!!!!
おい、アキ!!待てアキ!!!!
俺は!!!!!!!」
鈴蘭には毒がある
花に、葉に、茎に、毒がある
いつも口にしていた鈴蘭のおかげで
俺は望む時に死ねる
さぁ、毒が回ったらしい
「鈴蘭…枯らすなよ……?
カルマ………」
伝えられ…た
よかった…さいご………
小さいけど……ちゃんと、咲け…た…
チリーン…
「あ、花が落ちた」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 28