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不安
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「や、ほら!あんだろ
夜一人でいて、寂しいわけじゃないのに何となく不安な…」
「なに女見てぇなこと抜かしてやがる」
「…んー
許してよー
ね?だって言うていっつもの事じゃねぇ?」
「だから怒ってんだろ」
「はぁーあ
寒いなー」
今は8月。
真夏だ
いつからだったか
こいつの寒いが気温の話ではないと気がついたのは
「…」
「ん?なに?
え、優しくしてくれんの?
許してくれんの?」
「……許しゃしねぇが寒みぃんだろ」
「ふふ…」
手を握ってやればコロリと表情を変える
ニコニコときしょくわりぃ
「笑ってんじゃねぇ…ぶっ殺すぞ」
「…ん、それはー……りっくんにならいいかもな」
「そういう冗談…」
俺は知っている
こいつは冗談は言っても嘘はつかない
この冗談も、きっと嘘ではない。
「最初に言ったのりっくんだろー」
誤魔化しのきかない目だ
はぐらかせないからどうすればいいのか分からなくなる
「……まだ寒いか」
「…少し」
寂しそうに伏せられたまつ毛に
ツンと尖った高い鼻
唇は真っ赤
「お前は綺麗だ」
「……お、どろいた…りっくんが僕を褒めるなんて珍しいね」
「たまにはそのスカしたお前を思い切り変な面にしてやりてぇと思ってな」
「あー、今褒めてくれたのにー!
スカした面なんてひどーい」
口を開く度に真っ赤な唇よりも赤い舌がちらりと見える
「……あぁそう言えばお前その目はどうした」
右の瞼が少し腫れていて赤や青に変色してる
「ママは、仕方ないよ
寂しくて仕方ないんだきっと」
「……そうか」
切なげに瞳に影を落とすのは
愛を受け入れてもらえない
拒絶された悲しみを抱えているからだ
「なぁりっくん
あの、さ
りっくんは、俺に飽きたりしないの?
俺、ウザイじゃん
なんで?
なんで一緒に居てくれんの?」
俺にまで手を離されたらこいつはどうなってしまうんだろう
「……あー、俺は…体温が高いからな
お前にちょっと分けるくらいなんて事ないから」
「………りっくん……もし、俺が…りっくんに……一緒に居てくれって、ずっと居てくれって言ったら…どうする……?」
瞳に涙の膜が張り詰めている
触れればこぼれる
俺を見つめて助けを求めるように言葉を紡ぐ
「はぁ、んなもん言われなくたって居んだろ
俺は嫌だったら嫌だって言うし、嫌いな奴相手にするほど良い奴じゃねぇぞ
これでも、お前を大事だと……思ってんだよ」
「……ぅ………っ…ぐ……っひ……」
肩口に顔を押し付けてやると背中に回った手が力なく俺を掴んでいる
「……俺はいるよ
…お前が俺を嫌になっても
お前が凍えないようにちゃんと見ててやるから」
「……り…がと……っく………ぅ…」
「あんま泣くんじゃねぇよ
いつまでも離せねぇだろ」
仕方がない
俺はどうにもこいつに弱いから
望まれればいつまでも抱きしめて
俺の熱で溶けるくらい愛していたいと思うから
「…はなさ、ないでよっ……俺のこと…っ」
離せと言われたって、
「離さねぇよ……絶対…」
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