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哀 た い
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なぁ
ん?
俺、もう死ぬのにさ
お前以外誰も来てくれねぇんだな
あ?
俺が来てやったのになんの不満があるってんだよ
ねーよ。
こんな弱ってる姿
お前にしか見せれねぇよ
俺は最期までお前のそばにいなきゃ行けねぇんだよ
最期って……
まぁ、それも今日で終わりだ
おつかれさん
お前も長かった痛みももうないんだろ?
うん
意識も少しぼんやりしてて
痛みも全くないよ
俺はお前のそばにいることを自分で選んだ
そしてそれは正解だったと思ってる
ばーか
何言ってんのお前
寂しくなっちゃうだろ
そんなの俺もだよばーか
あー、もうそろだわ
今までありがとな
おう。次はお前が俺に尽くすんだな
任せろ
待っとけよ
おめーがヨボヨボのじーさんになったらケツの世話までしてやるよ
そうかよ
………んじゃあもうおやすみ
最後に見れたのがお前の顔でよかったよ
先に……待ってる…から、な……
「実はさ、俺お前がいない世界とか
ありえねーんだわ。
俺も今行くから」
康平が倒れたのは高三の冬だった
病名は骨肉腫
骨の癌だった
痛みに耐えていたらしく俺が病院に連れていった時にはもう遅かった
康平の要望でギリギリまで学校に行った
迎えも送りも学校内でも俺は康平のそばにいた
俺は康平が死んだら直ぐに後を追うつもりでいた
「……お前さー
俺が死んだら後追おうとか考えてる?」
「だめ?」
「いや、好きにしろよ」
身寄りのない俺達は
俺の世界は康平以外康平の世界には俺以外存在しなかった
卒業後働く予定だった企業の内定を蹴って付きっきりでいた
こうして最後の時まで
ピー
……心臓の止まった音。
康平が死んだ
向こうでもお前一人じゃ寂しいだろ
俺も行くよ
ドサ
病室のカーテンは風になびいていた
日に照らされて輝く白いカーテンは天使の翼のようにも見えただろう
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