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Story8
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「へーなるほど!いつもちゃんと見てくれてたって事だね!」
『はぁ?』
「いやーやっぱり良い先生だねぇ。てゆか屋上入れたんだ。いいな〜」
その日の放課後。帰ろうとした時に瑞稀が呼び止めてきた。
そこまではいつもの事なので気にしていなかったのだが、何故か「どこかに寄って帰ろう」と言う。
半場無理やり近くのカフェに連れてこられ、何かと思えばこれだ。
此処でまで黒木の話とは...。
「コーちゃんは溜め込みすぎる癖があるもんね。良かったー!」
『なにが良かったんだよ。こっちは面倒な事になったんだけど』
「なにがって、頼れる相手が増えたでしょ?もちろん僕のことも頼って欲しいんだけどね」
『アイツに頼る訳ねぇだろうが。瑞稀には迷惑かけねぇよ』
すると瑞稀は目を見開き、ムスッとした顔をした。何か無神経なことを言っただろうか。
「それ!それがダメなの!迷惑なわけ無いじゃん友達なんだから。頼ってほしいし迷惑かけてほしいんだよ」
『は、はあ...。よくわかんねぇ』
「んん〜〜!取り敢えず僕にも頼ってねって事」
『分かった』
そう返事はしたものの、迷惑をかけられて嬉しいだなんてよく分からない。
瑞稀はどんな時でも隣にいてくれた。
その聞きなれた声で、安心する声でいつでも名前を呼んでくれた。
だから迷惑かけたくないって思うのはいけないことなのだろうか?
しばらく思考を巡らせてみてもよく分からなかった。
「じゃあそろそろ帰ろっか」
『ああ...』
「いやーどうしても黒木先生との会話知りたくってごめんね。引き止めちゃって」
『別にいい。家にいる時間が減って良かった』
「あ、そっか。それなら良かった!」
瑞稀と別れた後、来た道を戻り学校に向かった。何故かって?忘れ物をしたのを思い出したのだ。
いつもだったらわざわざ取りに戻るなんて事はしないが、今回忘れたのは親に渡す提出物だ。
クソ親父に忘れたなんて言ったら終わりだというのを知っているからな。
『はぁ...はぁ...』
少し小走りしたため呼吸が乱れる。
わざわざ職員室に行くなんてゆう事は絶対にしない。
俺は鞄をリュックのように背負うと、壁や窪みを使い屋上まで登りきった。
そこまで身体能力がない訳では無い、むしろ少し自信があるためこれくらいの事は容易く出来る。
フェンスを飛び越えトンっと着地する。
今の時間なら黒木は鍵を閉めていないはずだ、中に入れる。
「ちょーっとー?」
『え...』
「今のは流石に見逃せないなぁ?」
『な...んで...』
そいつは煙を吐きながらそこに立っていた。今日の会話は二回目、更には瑞稀ともこいつの話をした。
今日の星座占いは最下位確定だな、なんてことを考えながらそいつをじっと見る。
「あ、ごめんごめん。タバコ苦手だったね。今捨てるから」
『何でここにいんだよ』
「それはこっちのセリフだぞ〜?今日は早めに帰ろうと思って屋上の鍵閉めに来たら珂神が壁を走ってるんだもんな」
『はぁ...めんどくせぇ』
「俺は珂神とたくさん話せて嬉しい1日だったよ。しかし身体能力凄いなぁ」
『あれくらい普通だろ。そこどけ』
こんな会話をしている場合ではない。
さっさと取りに行ってさっさと帰りたい。
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