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Story15
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7月上旬
気づけば日々は過ぎ、もうすっかり暑苦しくなっていた。
俺と黒木の関係はというと"仲良く"はならないが前よりも話しかけられる事が増えた気がする。
あまり認めたくないが前よりも話しかけられるのは嫌ではない...と思う。だがけして嬉しくはない。
「お前らもうすぐ夏休みだからって浮かれてんなよー」
暑苦しいなか数学の授業。なんて最悪な時間だろう。これでタバコの匂いもしたら絶対今すぐ教室から出てってやるが。
「んじゃー次の問題を...珂神」
『え?』
「解けるだろ?」
こいつ...ニヤついてる。
俺が解けないのを分かっていてわざと当てたんだ。いい性格してるよほんと。
『......』
「じゃあ答え言っちゃうな〜。丁度もう終わるから珂神は職員室に来るように」
そう言うのと同時にチャイムがなり、みんなが一斉に席を立つ。次は昼休憩でそれぞれ昼食を食べるのだろう。
「コーちゃん。僕教室で待ってるからね」
『あーいや...』
「珂神。職員室来いよ」
またタイミングの悪い...。
___職員室___
「珂神さ、前よりも授業に出てくれる事が増えたっていうのは凄い嬉しいんだけど、もう少し勉強しない?」
『めんどくせぇ』
「そんなの俺だってめんどくさいよ。本当は働きたくないし外に出たくないし。家でだらけてたいよ」
『それでも教師かよ』
「俺はできた大人じゃないの」
それは結構前から知っているつもりだが。
『俺は勉強なんてする意味ねぇから』
「というと?」
説明しなくちゃならないのか。
こういう時だけ察しが悪いな...それともまた分かっていて聞いてるのか?
『サク...兄がいれば俺は要らないから』
「...うん。そうだな」
『やっぱお前もそう思うだろ?』
「でもそのままじゃ珂神の気持ちはどうなる?」
『そんなの、とっくに無くしてる』
「じゃあ全部俺に吐き出せばいいよ」
『だからなんでそこまでするんだって』
「だーかーらー、仲良くなりたいから」
なんの迷いもなく話す黒木の目は真剣そのものでさすがにこれ以上は何も言えなくなってしまう。
俺の世界にズカズカ入ってきて、なのに嫌だと思わないのは何故なのか。
俺の中では新しい人種だからだろう。
「てことで今日の放課後から特別授業な。これ場所と時間書いてあるからまた後で」
そんな日常はもう少し続きそうだ。
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