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3話(6/10)
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「そんなに危ない病気なんですか?あんまりそんな感じしないんですけど」
「そうだね。我慢して出さないでいたら最悪の場合、死ぬ可能性があるよ」
「ハァ!?」
冗談はやめろと見た慶一の顔は真剣で、それが冗談ではないと分かってしまい千尋はそれ以上言葉が出なかった。
まさか。
まさか死ぬ可能性があったなんて信じられない。
まだやりたい事もいっぱあるのに、突然突き付けられた死という現実。
なにより母親になんて言えばいいか分からない。
「……治るんですよね…?」
「100パーセント、とは言えないけど…治る可能性は高いよ」
それを聞いてほっとした。
可能性がゼロでないなら希望はまだある。
「でも何で慶一さんは病気のこと知っているんですか?さっき知ってる人は僅かにしかいないって」
それにどうして千尋が病気であると確信を抱けたのか。
何故、こんなにもしてくれるのだろうか。
本当、一体何者なのだろう。
「俺の祖父が同じ病気だったんだよ。実家が昔から医者の家計で祖父も医師だったんだ」
「じゃあ慶一さんも医者なんですか!?」
「ん~…まぁ、そうだね。だから祖父は自分で病気について調べていてね。受け取った遺品の中にこれがあったんだ」
そう言って先ほど読んでいた本を見せた。
よく見ると表紙には日記と記してある。
それを読んでいたから詳しく知っていたのか。
「じゃあもしかして…」
「祖父は老衰で亡くなったから病気とは関係ないよ。ただ、資料が途中で終わっているから完治していたのかは分からないけど……」
首を横に振り否定する。
途中、という事は治ってなかったから書けなかったんじゃないかと口に出してしまいそうになって、言葉を飲み込んだ。
聞いた所で慶一を困らせるだけ、それに真実はもう本人以外分からない。
「書いてあった発作の症状が似ていたから見かけた時もしかしてって思ったんだ」
「そんなに分かりやすいんですか!?」
見ただけで分かってしまうなら知っている人の前ではバレバレになってしまう。
もし街中で発作になってトイレに駆け込んだ所を見られたら何をしているか教えているようなもの……考えただけで顔から火が出そうだ。
慶一が笑って違うよと否定するので安心するが、ではどうして分かるのか。
日記をテーブルに置いた慶一が千尋の隣に座ると悪戯な笑みを浮かべ顔を近付けて来た。
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