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9話 3
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ここ多華学園は幼等部から高等部まである。
なので体育祭も幼等部から始まり小等部の次は中等部、高等部は合同で行われる。
三日間連続して行われるので準備の時から学園はお祭り騒ぎだ。
「しかも三日間ずっと天気いいとか暑いっての」
パタパタと手を扇ぎ風を起こすがたいして涼しくないうえに疲れるだけ。
飲み物も直ぐに温くなってしまいテントの下にいる教師達を恨めしい目で見る。
「流~……暑い、死ぬ、助けて」
「うるせーな……ってくっつくんじゃねーよ!」
背中に凭れ掛かっただけなのに離れろと首根っこを掴まれる。
苦しい、かなり苦しい。
「流!ちーちゃん苛めるなよ!」
いつの間にか流の後ろに立っていた奏がそれはもう思いっきり蹴りを一発。
当然の事ながら突然の事に流はそのまま地面にダイブ。
そのおかげで千尋は自由になれたのだけれど。
「やっほー、ちーちゃん。コレあげる」
「あ、ありがとうございます……ってアイスだ!スッゲー嬉しい!カナ先輩ありがとうございます!!」
受け取ったバニラのアイスを早速封を切って頂く。
冷たくて甘いバニラの味が口いっぱいに広がる。
「はー……生き返る」
「よかったね。じゃあ、僕も一口もらっちゃおっかな」
「どうぞ、どうぞ」
はい、と差し出せば奏はうーん、と唸り千尋の顔をジッと見る。
(あれ、食べないのかな)
なんて考えているとちょいちょいと手招きされ顔を近づければ口の真横をペロ、っと何の予告もなしに舐められた。
「んな!な、にしてんですか!?」
「口の横についてたから綺麗にしてあげたんだよ」
悪びれる様子もなく、ニコニコ笑う奏には何を言っても勝てない気がして。
(相変わらずだよな、カナ先輩って)
ドキドキと高鳴る心臓を誤魔化す為にアイスを食べる。
「かーなーでー……テメェ、何しやがる」
「あ、忘れてた」
ようやく起き上がった流が奏を睨む。
そういえばすっかり忘れていた。
白いシャツが砂で汚れていて、ついでに顔も砂まみれで怒ってるのに怖さが半減している。
そんな流を見て奏は腹を抱えて大爆笑。
「なにそれ、流行のメイクかなんか?似合ってんじゃん」
「ッざけんな!お前も同じようにしてやる」
「じゃあね、ちーちゃん。後ごちそーさま」
「逃げんな奏ー!!」
ヒラヒラと手を振って奏は颯爽と去っていく。
握った砂を地面に投げつけ流は悔しそうに拳を握っている。
このまま近くにいたらとばっちりを食らうかも、とそーっとクラスのスペースに戻ろうとしたが「待てよ」と直ぐにバレてしまった。
「な……なんだよ、オレは別になんも悪くねーからな」
「そうじゃねーよ」
こっちに用がある。
引っ張られた腕の先のアイスを流は遠慮もなしに一口、というか全部食べてしまった。
「あー!オレのアイス!何すんだよ流!」
「慰謝料。……結構美味いじゃん、もうねーの?」
「ねーよアホ!自分で買ってこい!!」
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