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4話(1/5)
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桜が満開の春。
千尋は新品の制服を纏い、多華学園の入学式に出ていた。
見渡す限り男しかいない。
さすがは男子校である
それでもようやく憧れの高校生になれたとはしゃいでいたが自分のクラスに入った瞬間、その気分は一気に急降下し冷めてしまう。
(なんでコイツがいるんだよ)
コイツ、とは千尋が同じ屋根の下に住まう宮下流のこと。
入学式だというのに制服はだらしなく着崩して指輪やネックレス、おまけにピアスまでして校則違反のしまくりである。
しかも何が一番嫌かというと席が隣なのだ。
挨拶しても家の中ですれ違っても、流は絶対に反応しない。
それ所か睨まれてばかりで全身から近寄るなオーラを出しまくっている。
何かした覚えも嫌われるような事もした覚えが無いので正直どうしていいか迷っている所だ。
「いつまで突っ立ってんだよ」
「へ?」
ギロリ、と流が睨む。
ナイフのような鋭い視線に思わず数歩後ずさってしまう。
「ほらそこの君も早く席について」
「え!あ、はい!!」
いつの間にか教師が入ってきていたらしく注意を受け千尋は慌てて席に着いた。
数人の生徒が千尋を見てクスクス笑っている。
(は、恥ずかしー)
急激な体温の上昇に頬が赤くなっていく。
気付かれないよう隣の流を見ると寝むたそうに欠伸をしている。
……まだ10時を過ぎた所だというのに。
(さっきのって先生が来たからなのかな)
千尋が注意を受けない為にわざとあんな冷たい言葉を言ったんじゃないか。
そんな事を考えてみるが、とてもそうは思えない。
もし流が優しいのなら挨拶ぐらいはしてもいい筈だ。
(ま、別に仲良くなりたいわけゃねーし)
広く浅くよりも狭く深い関係の方が千尋は好きだ。
本当に信頼できる友人が一人でもいればそれでいい、という考えなのだ。
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