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9話 6
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「で、話しってなに?」
連れて来られたのは人けの無い校舎の裏。
昼間だというのに不気味な雰囲気が漂ってくるのは気のせいではない筈だ。
遠くで聞こえる賑やかな音楽や応援の声がとても恋しくなる。
(やっぱり来ない方が良かったっぽいよな)
とはいえ今更遅い。
来てしまった以上責任は自分にあるのだ。
万が一の事があれば大声でも出して逃げればいい。
なんて逃げるシミュレーションする千尋ではあったが。
「千尋って可愛い顔してるよな」
「は……?」
油断とスキが生んだ白谷にとってのチャンス。
視界が一気に変わり気付いた時に感じたものは背中への痛み。
逃げられないよう腕で壁まで作られ、そして迫ってくる白谷の顔面はご丁寧に瞼まで降ろしているではないか。
(ちょ、ちょっと待て!コレってってまさか!!)
「白谷お前、ちょ、顔近付けんなって!」
「えーいいじゃん。誰もいないし……俺、結構上手いって評判なんだぜ?」
(そんな事どうでもいいし、つかそういう問題じゃねー!)
何とか白谷の顔を手で押し返そうとするも相手も負けじと粘りキスを迫ってくる。
まさかの予感的中だった。
同時に新たな発見をする。
白谷が今こうして千尋に迫ってくる、それ即ち。
(ホモなのかよ!どんだけだよこの学校!!)
さすがは男子校だろうか。
探せばもっといる気がする。
しかし今はそんな悠長な事を言っている場合ではない。
いっそ股間でも蹴ってやればいいのかもしれないが同じ男としてそれだけはやっちゃいけないと理性が止める。
「ホント、勘弁してくれって……っ!そもそも俺ホモじゃねーし!」
「あれ?流と経験済みじゃなかったの?」
「経験済みって、はぁぁあああ!!?」
さらりと告げられた言葉に驚いた千尋だったが一瞬にして顔は真っ青になる。
(ちょっと待てちょっと待て!経験済みって……まさかコイツ、俺と流がトイレでやったアレを見たのか!?)
「仲良かったし、俺に近付けさせさせないようにもしてたからてっきり恋人なのかと思ってたけど……違うんだ?」
「あああああ当たり前だろ!……てかそれが理由?」
「他になんかあんの?」
「ないない!断じてないっ!!」
納得したのか白谷が離れてくれた。
バレたかもしれない、などという案件は余計な心配だったようだ。
兎にも角にも危険も回避され一安心である。
「千尋には悪い事したな」
「もういいって、なんかこういうのちょっと慣れた」
本当は慣れたくはないが。
「じゃあ千尋がホモじゃないって分かった事だし、お詫びも兼ねて来週の合コンへお誘いさせて頂きましょう」
「合コン?」
「そ。可愛い女の子来るし、千尋も出会い欲しいだろ?」
彼女、というワードに現役高校生で食い付かない野郎がいるだろうか。
少なくとも彼女がいない奴ならば先ずいないだろう。
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