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ゴースト・・・・2
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--------------2
もう一軒付き合わないかと言われて、一緒に席を立つ程度には気を許した。
立ち上がると、意外と志水の背が高いのに気づき、男はへえと微笑む。
男は仕事帰りらしく、大きめのビジネスバッグを抱えていたが、志水は手ぶらだ。
細長い身体に馴染んだ革のジャケットの両ポケットに、スマホとタバコとクレジットカードと少しの紙幣が突っ込まれているだけ。無造作に跳ねた髪は左頬の痣を隠すくらいの長さで、学生なのか働いているのか、見た目の情報は少なかった。
お互いまだ名前も名乗り合っていなかったが、年長者だからという理屈で、払いは男が持った。
志水も特に遠慮はしない。ごちそうさま、とだけ言ってエレベーターに向かった。
古いエレベーター、昇降ボタンはすっかり色褪せていた。ドアが閉まるのも動き出すのも、もったりとしている。
ワイヤーが軋み始めると、不意に男は志水に唇を寄せてきた。
ああ、やっぱりそうなのか。まあ、そうだろうな……。
志水は特に驚きもせずそのキスを受け入れた。志水が軽く唇をひらいたことで、男は確信したように激しく志水を抱き寄せ、さらに深く舌を絡ませてきた。
志水もタバコを持ったままの手をそっと男の腰に回す。
髭の感触がいい。
唇を離して、男が囁く。
「うちで飲もうか」
エレベーターが開く前に、もう一度キスをした。
◆
こんなふうに出会ったばっかの男とやるの久しぶりだな……。
今日は別にそんな気分じゃなかったのに……。
シャワーを使いながら志水は自分に少し呆れていた。
確かにセックスの欲求はあるのだが、酔ってなし崩しというわけでもなく、こうして他人の家のバスルームを借りている自分を、つい客観的に見てしまう。
そういう顔をしてたってわけだよな。あの店で。俺は。
男もあの店にそういう相手を探しにきていたのではないだろう。
そういう欲求を満たす場所を知らない事はないだろうし。
たまたま、志水が居合わせた。
そして嗅ぎ取られた。
もしかしたら、どこか別のその手の店で本当に志水を見かけてたのかもしれない。
男を漁りに行ったことがないわけじゃない。
自分には見えていない自分を、見ている誰かがいる。
志水にはそれがとても気味の悪いことに思える。
セックスというのは、そもそもとても気味の悪い行為だ。
なのに、なぜ、欲しくなってしまうのか。
バスルームから戻った裸の志水を、ワイシャツ1枚になった男が抱きすくめる。
首筋や肩に何度も唇を押し当てる。
「……俺もシャワー」
そう言って、今度は男がバスルームに消えた。
『ひとりになったんで、前の部屋は広すぎたんだ』
さっき男はそう言っていた。なるほど、一人の部屋だな、と思う。
天井まである壁一面作り付けの書棚には、ぎっしりと本が詰まっていた。大きな判型の画集や写真集も多い。
それから、ガラス扉のキャビネットの中に小さな鉄道模型が何両も並んでいた。
壁にかかった数本のエレキギター。古いテディベア。広いアイランドキッチンには洋酒のボトルばかりが並んでいる。
酒のラベルを読んでいると、ふと視線を感じた気がして、志水が振り返るとそこはベランダに面した大きな窓だった。
明るい部屋が窓全面を鏡にしていて、暗闇の中志水の姿を写していた。
志水は壁を探って調光機を見つけ、部屋の照明をを落とした。
「なんだ、暗い方がいいの?」
後ろから裸の男に抱きしめられる。湿った体が一瞬不快で志水は顔をしかめた。
「もう少し、見ていたかったな」
男はキスしながら志水を窓の前に立たせ、背中を押しつけた。
「……っ!」
冷たさに身をよじるのをさらに押さえつけ、男は志水のしっとりした首筋を啄む。
鎖骨を舐め、乳首を舐め、ひざまづくと、志水の引き締まった腹、臍、腰骨と、キスを落としていった。
冷たかった背中も、すぐに体温と馴染んで心地よくさえある。
部屋を暗くしたとはいえ、どこかで誰かが、絡み合う裸の男たちを覗き見ているかもしれない。
男の髭が下腹部をくすぐり、志水のペニスが熱い内臓の感覚に包まれる。
頭が前後し始め、志水は目を閉じて導かれるままになった。
男の舌遣いは巧みで、志水からも甘い吐息が漏れる。
「……はあ……素敵……大きいね……」
一度ペニスから口を離して、男はそれを嬉しそうに握りしめ、今度は頭の角度を変えて、思い切り喉の奥までそれを飲み込んだ。
志水が男の短い髪を掴み、さらに奥まで突き上げた。
男は自分のものを扱きながら、志水より先に射精し、志水のも欲しいと喉からそれを抜き取ると、大きく口を開けて舌を出し、握りしめた志水のものを扱いた。
やがて噴き上げた志水の精液が男の顔に飛び散る。男の舌がそれを舐め取り、息づくペニスに絡みつくと、先端を音を立てて吸い上げた。
やられっぱなしもつまらない。
志水は立ち上がった男と身体を入れ替え、今度は男を窓ガラスに押し付け、今、自分の精液を放った口腔に舌を差し入れた。
苦い精液の味が広がる。
自分の味なのだから、なんとも気持ちの悪いことだ。でも、その気持ちの悪いことに興奮する。
豊かな毛に覆われた胸から腹、キスを移していく。
好きな身体だと思った。そして「これ」も……。
志水もまた、膝立ちになると、男のすでに精液に濡れ勃起したままのモノに舌を這わせた。
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