アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
シェアリング・・・・2
-
--------------2
初めて来た部屋なのに、もうすっかり、馴染んだ部屋のように振る舞うのが守谷サンだ。
この世の権利は全て彼にあたえられているらしい。
シャワーの後のしっとりと匂い立つような肌を、惜しげもなくさらし、冷蔵庫に向かう。
ミネラルウォーターを取り出し、ごくごくと咽を鳴らした後、くるりと振り返り、あらためて彼は、オレの新しい部屋を見渡した。
窓に降りたカーテンをあげて彼が喜びそうな高層階からの東京の夜景を見せると、無邪気に歓声をあげる。
「しかしスッゲエな、宋。おまえの給料ってそんなスゴイの?」
守谷サンは全裸のまま、窓に歩み寄る。まあ、誰がのぞいているというわけではないが、窓ガラスに映った守谷サンは、まるで星くずの中に立っているようだった。なんて、オレもたいがい少女趣味かな。
「オレ一人じゃ無理ですよ。友人と借りてるの」
「にしたってすげえ家賃だろ?」
どうやら、気に入ってくれたらしい。
ここは例の男がオレと城嶋に学生アパート程の値段で貸してくれた部屋だった。隠し資産だったのか、彼が消えてからも未だ立ち退きも言い渡されない。
彼の持ち物だっただけに、ここはオレたちの趣味に特化した部屋だった。
……いつかここに俺たちの恋人を……。
星の中の守谷サンを後ろからそっと抱きしめる。
そのまま、両手を頭の上で束ねて窓ガラスに押し付けると、ん……と、小さく呻いて守谷サンはその細い腰をよじった。
綺麗に筋肉ののった、肩のラインを舌でなぞる。
「なあ、見たぜ、ベッドルーム。どういうことだよ、あんな広い部屋にでかいベッド。友人ってのは、新しい男じゃねえの?」
たとえそうであっても、守谷さんにはどうでもいいことだろう。
彼がオレに求めるのはいつも、セックスだけなのだから。
「それにさあ、バスルーム……。アレなに?おまえ、なにやってんの?」
守谷さんがにやにやといやらしい口ぶりでまとわりついてくる。
「同じ趣味の友人たちとね、共同で使ってるんです」
「ん?」
「まあ、いわば、プレイルームですね」
「なんだそれ?」
笑いながら疑問を口にするのを、深いキスで塞ぐ。
守谷サンの中心が、すでに、オレから無償であたえられるはずの快楽を期待して、ゆるゆると立ち上がる。
この人は、我が侭で、嘘つきで、ズルいくせに、純粋で汚れを知らず、自分に好意を寄せている他人を疑うことも知らない。
「しよ、宋。楽しませろよ。久しぶりに……」
腕をとられたまま、体を捻り、立ち上がったきれいなペニスをオレにすりつけてくる。
頭の上で束ねていた腕を、下ろし、守谷サンを抱き寄せると、今度は後ろ手に片手で捕まえる。
もう片方の手で、はしたなくねだる彼の分身を握りしめた。
「あ……」
守谷サンの舌が、オレの舌を求めてくる。
オレは、顎をそらし、そんな彼を見下ろして言った。
「でも……」
「どうかな……守谷サン……楽しめるかな……?」
守谷サンは、じらされるのが嫌いだ。
えぐるような視線でオレを見上げ、オレの顎を神経質な指で持ち上げると、ペッと唾を吐きかけた。
いいきっかけをもらったとばかりに、オレはそれまで貼付けていた笑顔をそぎ落とし、思い切り守谷サンを張り飛ばした。
派手な音をたて、一度窓にあたってから、膝を崩しそのままがくんと腰を抜かすようにゼブラ柄のカーペットを敷き詰めた床に座り込んだ守谷サンは、きょとんと、大きな目をさらに大きく見開いて、オレを見上げていた。
そりゃあ訳がわからないだろうね。
長い廊下の奥で、玄関の重いドアの開く音がした。
ほんとうにいいタイミングだ。
リビングに近づく足音に守谷サンも気付き、振り返ったドアに見知った友人の姿がのぞいた。
「あら、まあ、いきなり……」
その、人を食ったようなおどけた口調。
「城嶋!?」
声を上げたのは守谷サンだ。かわいそうに、なぜ俺の部屋に、サンフランシスコにいるはずの城嶋が来るのか、まるで結びつかないらしい、彼はそれこそ「目を白黒」させていた。可愛い人だ。まったく。
城嶋の方は、そんな守谷サンの姿を認めても、眠そうな生意気な目でのんびりと見下ろし、驚いた様子もない。
「宋を怒らせちゃった?守谷サン」
守谷サンの前にゆっくりしゃがみ込むと、赤く腫れ上がった頬を優しくなでた。
「怒ったわけじゃないよ。生意気だから少し黙らせただけ」
オレはその場を城嶋に譲ると、ワインセラーに向かった。
守谷サンが好きだと言ったコルトン・シャルルマーニュが冷えている。
オレはそれを開け、グラスに注ぐと、奥のソファーに腰を下ろし、城嶋の手並みを拝見することにした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
14 / 32