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毛皮のマリー・・・・3
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・・・・3
断れるわけもないなんせあの昇龍会会長と同じ「波津」を名乗る男だ。
葛木はできれば関わりたくなかったが、断っても、たぶん自分や店が無事でいれるとは思わなかった。だったら、楽しまなくちゃ損だというわけだ。
波津の部屋は湾岸のタワーマンションの一室で、葛木の肩を借りるほどに酔った波津を部屋まで運び入れ、ソファーに寝かせたところで立ち去ることもできた。
が、葛木はキッチンへ向かい、洗浄機の中に放置されたままのグラスを見つけて、ウォーターサーバーから冷たい水を注ぎ、それを手に波津の元に戻った。
「大丈夫ですか?」
グラスをそっと額にあててやると、その手を掴んで波津が言った。
「ばーか。お前を連れ込む口実だろ?」
「なら、いいですが。……オレ、男はあんまり慣れてませんよ」
「ちんぽがたてば充分」
「……どうかなあ」
波津が葛木の髪を掴み、引寄せ、舌をのばして唇を舐める。
「男に買われた事あんだろ?」
「まあ、そうですね。あります。社会経験のうちですね」
葛木があっさりと認めると、波津は満足そうに葛木の唇を噛み付くようにむさぼり、葛木がうっすらと口を開いて、波津を誘い込み、ふたりはねっとりと舌を絡めあった。
そのまま葛木が上に覆いかぶさると、波津は腕をのばし、葛木の首を引寄せるように抱いた。左腕の派手な牡丹の和彫が葛木の眼に飛び込む。
「なあ。怖い?」
「え……?」
「オヤジが怖い?」
「そうですね、バレたら、終わりですよね、オレ。やばいなあ」
「ははっ!ぜーんぜんヤバそうじゃ無いじゃん」
そんなことはない、内心これで自分の人生も終わるのかもと諦めがはいっていた。
「大丈夫だよ。あいつ立たねえからさ。糖尿で」
葛木の服を脱がせながら波津はこともなげに言う。
ああ、やはり……そういう……アレか。
「オレがお前とどんなセックスをしたか、ことこまかに報告してやったら喜ぶんだ。終わってるよな。なんなら、オヤジの前でやったっていいし」
「はは……かんべんしてくださいよ」
裸にされた葛木が波津の服に手をかけた時だった。すっとその手をとって波津が言った。
「……目つぶってろよ」
葛木が目をつぶると、調光器で部屋の照明がしぼられた気配を感じた。
唇に触れる波津の感触に、うっすらと眼を開ける。
波津の長いまつ毛が葛木の目元をくすぐった。
そのまま首筋を吸われ、鎖骨を噛まれた。両手で葛木の輪郭をなぞりながら、舌は胸を舐め、乳首を転がす。
「いい身体してるじゃん……」
葛木を押し倒し、さらに身体中を啄ばむ。しっかりと反応して立ち上がったものを腹の下に確認して、満足そうに波津が笑い、そこにも舌を這わせ、丹念に竿を舐め上げる。
男に買われたことは……ある。だが、受けた経験はない。
はたして、波津の欲望を受け止め切れるものか。葛木は少し呼吸を荒げながらも、冷静に状況を理解しようとしていた。
やがて波津の喉に自分が導き入れられ、追い立てる動きに息を詰める。
限界を感じて、そっと波津の肩を押すと、波津はその手を握って、さらに喉の奥を使い、激しく頭を上下させ続けた。
しかたない。葛木は逆らわずにそのまま波津の喉で果てた。
口元を拭いながら、波津はソファーから体を起こし、テーブルの上に放ったタバコを手にした。
咥えたタバコに火をつけると、波津の顔がぼうっと明るく浮かび上がる。
中断したセックスに、葛木もそっと体を起こす。何か気に入らなかったのだろうか。
「……すみません。いっちゃいました……」
波津は煙を吐きながら葛木を見た。
「はは、うまいもんだろ?」
そう言って笑うと、突然タバコの火を自分の左手の甲に押し当てた。
「アキヒコさん!」
驚いた葛木が思わず手を伸ばすと、さっき毛皮に酒をこぼした時のように、その手を払ってケラケラと笑う。
「ダイジョーブ、なんでもないよ」
葛木は何も言えず、冷めた汗を拭って髪をかき上げた。
「オレさ、こういうのが好きなわけ。葛木、付き合える?」
薄暗い部屋に目がなじんでくる。波津の腕は、彫り物だけではなく、たばこの跡や切り傷のようなものが点在していた。
葛木は黙って波津の手を取ると、新しい火傷に舌を這わせた。
それから波津の頭を抱き寄せ、キスをした。
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