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毛皮のマリー・・・・4
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--------------4
腕だけではなかった。
裸になった波津の身体、背中には一面に唐獅子と真っ赤な牡丹の刺青があり、胸や腹は火傷の跡がいくつも散っていた。
そういった跡は前面だけにあったので、多分自分でつけたものなのだろう。
男の喜ばせ方など自信はなかったが、殴れ、噛めと、求める波津をいなしながら、葛木はとにかく丁寧に波津の身体を探った。傷を数えるように、その一つ一つを癒したくて。
タバコを押し付けた後はペニスにもあって、葛木は慣れないフェラチオもためらわなかった。
波津は愛されることに反応しないわけではない。
ただ、込み上げてくる快感に怯えるかのように、葛城の愛撫から逃れようとした。
「怖がらなくていいよ、アキヒコさん。落ちないようにオレがちゃんと引き戻してあげるから」
「……うるせぇ……」
そう言いながら、葛木にしがみついてくる。
葛木に導かれて波津は2度その口で達した。
はあはあと息を切らした波津が手を伸ばしてくるのに応え、葛木もその手を握り締め、抱き寄せ、汗を拭ってやる。髪を撫でる、
上気した顔が子供のようで、葛木がつい微笑むと、目があって恥ずかしかったのか、波津は顔を伏せてうつ伏せになった。
背中一面の彫り物が広がる。
こんなもの背負わされて……この人は……。
葛木はその背中を抱きしめた。痩せて薄い背中だった。
「……なあ……」
葛木の下で波津が呟く。
「ちんぽ欲しい……腹ん中掻き回されたい…… 」
背中に唇を這わせながら答える。
「うん、あげるよ……」
「……めちゃくちゃに突っ込んで……」
「うん……」
「……やさしくなんかすんなよな……萎えるから……」
「……うん……」
葛木は宥めるように髪を撫で続けた。
しばらくして波津は葛木の体から抜け出すようにして起き上がり、シャワー使ってくる、と言って部屋から出て行ってしまった。
葛木も起き上がり、脱ぎ捨てたジャケットからタバコを取り出す。
真鍮のライターで火をつける。
煙を吐き出し、窓の外を見た。
さっきまで真っ暗だったと思った空が、微かに青みを帯びている。輝いていた湾の向こうの東京のビル群も、航空障害灯の赤い点滅があるのみで、静かだった。
波津のことを考えようとして、やめた。
ただの客だ。いや、やばい客だ。
「……まずは無事に帰れるかだよなあ……」
独り言ちた。
シャワーから戻った波津は、どうやら「キメて」きたらしかった。
葛木のタバコを取り上げ、ひとふかしして灰皿に押しつぶすと、葛木を押し倒し、貪るように唇を求めた。
葛木は諦めたような気分になって、後はもう、波津の望むまま抱くしかなかった。
ベッドの上で葛木に後ろを攻められながら、波津が自らの首を締めようとするので、その度にその手を解いて、押さえつけた。代わりに葛木が片手でその首を絞めた。自分の手の下で苦しそうに喉がうごめく感触が気持ち悪かった。命を握っているようだ。
それでもこれを波津が求めているのなら与えようと思った。
指に込める力を加減しながら、波津の呼吸が止まる寸前を見極め、息が戻ったところでまた締めてやる。
「……アンタ、死にたいの?」
手の下でびくびくと痙攣する喉にさらに力を込めると、波津は弱々しくその手に指を絡めて首を横に振った。
葛木はそれを見て、はっと緊張を解く。
呼吸を求めて咳き込みながら波津は力なく射精した。
葛木が解放されたのは、もう空も白んだ頃で、二人とも、ぐったりとベッドに身体を投げ出しそのまま深い眠りに落ちていった。
意識が飛ぶ寸前、葛木は確かめるように波津の手を握った。
波津も握り返したように思った。
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