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休日 3
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気になる本を2冊見つけた僕は、それを持って律兄ちゃんを探しに行く。
「ぁ、うえっ?!」
ビックリするくらい早く律兄ちゃんを見つけた僕は、周りの異様な状況に驚いて動きが止まった。
律兄ちゃんを囲うかの様に女の人達がいて、それは本を読む振りをしながらの人もいれば数人で固まって話ながらの人、がっつり横に陣取り伺う人。そして、その人達の視線はみんな律兄ちゃんに向けられていて当の本人は、これだけ注目を浴びているのに全く気づいていないようで真剣に手に持った雑誌に視線を向けている。
本来の目的で、このコーナーに来ただろう男性陣も周りの異様さに何度もキョロキョロする人や、さっさと雑誌を戻すと居なくなる。
どうやったら、この状況に気付かずにいられるのか、それ程に雑誌に集中してるのか、もしくわ、にぶちんなのか。
自分の目的の物を手に持ったまま、近づくどころか声さえ掛けられない僕がもう少し後にしようかと動こうとした時。
今まで周りを見る事も気づきもしなかった律兄ちゃんが雑誌から視線をあげると迷う事なく僕の方へ向く。
そして、ふっと笑顔になった瞬間。
周りの女性陣の顔が一斉にこっちに向く。
「ひっ!!」
怖い。
とてつもなく怖かった。
睨まれてはいないのに、その背中に般若が見えたのは、僕の気の所為なんかじゃないと思う。
でも、僕が男だとわかると般若は身を潜める。
雑誌を置いた律兄ちゃんが真っ直ぐに僕の所まで来ると僕の持ってた本を持ってくれる。
女性陣の怖い視線から逃れた僕は律兄ちゃんの手にも1冊の雑誌が握られていて、その雑誌が意外だった。
「なんで、着物の本なの?」
「あぁ、仕事柄、着付けを頼むお客さんもいてな。新しい店にも今の所から1人着付け出来るやつを連れて行くんだが、もう少し人数増やしたくてな。オレも習ってんだよ。」
「へぇ、そうなんだ?着物って着物屋さんで着せてもらうのかと思ってた。」
「着物と髪はセットだからな。」
「そっか、そうだよね。」
レジで自分の本を買おうとしたら律兄ちゃんが自分のと纏めて買ってくれて、店をでる。
その間も律兄ちゃんは今習ってる着付けの先生の着付け方が早いのに上手で、キツくないのに着崩れる事がない凄い人なんだと、律兄ちゃんも飲み込みが早いと褒められたけど、まだまだだと楽しそうに話してくれて、本当に律兄ちゃんは仕事が好きなんだなって尊敬した。
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