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滝本まりかの本性
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滝本さんが先に屋上へと行った。
正直今とても心臓がドキドキしている。
久しぶりの恐怖と緊張により手が小刻みに震える。
紫苑「2人はさ,ずるいよな。今自分がどんな"目"をしてるか分かってるか?」
咲夜/吉良「…」
紫苑「態度は変えてるのに俺に助けを求めてる。そんな目。酷くねぇか?自分たちから近づいて来て勝手に離れて,今度はそんなすがる目で助けを求める。ずるいな…。」
2人はこっちを向いてはくれない。
あぁ,傷つくな。初めて律以外の心から友達だと思える人だったのにな。
紫苑「3週間前,俺は精神がまぁ不安定になって繁華街まで気がついたら行っていたんだ。そこでさ見ちゃったんだ。あの子に幸せそうに微笑みおでこにキスをおとす……狼の姿をッッ」
今思い出しても胸が痛くなる。
好きだった。いや好きと信じたかったこの思いをずたずたにされた瞬間ポッカリと穴が空いてしまった。
それでも遊びにたまり場に顔を出せば笑顔で俺を迎えてくれた狼。
紫苑「…まぁもうどうせ狼が俺に触れることはねぇんだろうけどな。女々しいな~俺って。初めて恋情を抱いた相手だった。好きという特別な感情を教えてくれた。…みんなのことも信じたかった。いや信じていた。」
咲夜「俺はッ…四季彩という族に入っとる以上頭の言うことは絶対おもーとる。急に護衛をへらせ…,そー言われた時は疑問しか浮かばんかった。けど紫苑が来ないある日たまり場にあの子が来た。」
吉良「最初は家族や親戚だと思ってた。けど違った。妙に多いボディータッチや狼さんのあの顔…あぁそういうことかって…でもじゃあ紫苑はどうなるんだって一気に頭の中を埋めて行った疑問と自分なりの答え。…最低だけど紫苑は,」
紫苑「捨てられたんだろ?まぁ狼はっいや…あの人かっこいいしな,可愛い女の子がほっとかないさ。…あの人も女の子の方が良かったんじゃね?」
咲夜「でもっ」
紫苑「長話はここまでだな。俺は大丈夫だから。最後にひとつ,今までありがと。これから先何があっても律には言わないであげて。2人もどんな事があっても俺にもうかかわらないで。これ以上傷つくのは嫌だから。ほんとに友達になってくれてありがとな!」
へらっといつものように笑い俺は屋上へと向かった。
咲夜「これぞホントの言い逃げやな。酷いなぁ,俺らには何も言わせてくれんのんやて。」
しゃがみこみくしゃりと前髪を握った。
酷いとゆーでみゆだけどでホンマに酷いんは先にあいつを裏切った俺らなのに…。
情けない自分に失笑が出る。
吉良「これから何が起こっても俺らが紫苑に関わることはできない。頭の命令でもあるが…本人が望んではいない。」
咲夜「ほんま情けないな~俺ら。ほんとに大事にせにゃいかんもん全然守れてないやん。律との約束も守れそうにないな~。」
吉良「"俺がいない間紫苑の味方でいてあげて。あの子は本当は弱い子なんだ…。誰にも愛されずに育ってきた。さみしさから逃げるために痛みに逃げてるだけ。本当はとても甘えんぼで素直で人を信じやすいばかなんだ。お願い,友達として支えてあげて。"…そう一生懸命に頼まれたのにな。情けない。」
紫苑は律には何も言わんとってと言った。
紫苑の願いを叶えるんが正解なのかどうかは分からんけどあの目は背筋が凍るほど本気の目だった。
咲夜「なぁ吉良もしも━━━━━━━」
屋上
まりか「あっ来たんだね。もぅ遅いから逃げたのかと思ったよ?」
あぁそっか。
ここには人がいないから本性を隠す理由がないんだ。
笑ってるのに目は笑っていない。猫なで声に虫唾が走る。
紫苑「ごめん。ちょと長話しすぎた。」
まりか「…ふーん。"私の"咲夜と吉良に変なこと言ってないわよね?」
私の…か。
紫苑「変なこと?そんなの言ってねーよ。ただちょと俺の大事なヤツのことを任せただけだ。」
まりか「あっそ。…それにしても,ふーんまぁまぁそこそこ整った顔してるわね。これなら確かに狼がまだ気にかけてるわけが分かるわ。」
紫苑「…何のようがあってこんな人のいないところに呼び出したんだ。」
まりか「え?そんなの決まってるじゃないの。…私はね?欲しいものがあれば手に入れるの。それが誰のものだろうがね?人の男もたくさん奪ってきた。…それで気づいたの。ただの男を手に入れるより力のある男を手に入れた方が私のゲームがより楽しくなるってね?」
人の大切な人までもを奪ってそれをゲームと言うのか。…この子は他人として終わってる。
紫苑「それが狼ってことか。」
まりか「そう!だって四季彩総長という肩書きは私を着飾るいい材料じゃない?上さえ手に入れれば下は上には逆らわない。いい物件だったのよ。」
そうにこやかに笑い滝本さんは言う。
肩書き…自分を着飾る材料…いい物件…。
紫苑「最低だな。」
まりか「なっ!」
紫苑「人のことを自分の利益にしか考えてないなんて最低だな。肩書きや材料,物件…そんなふうにしか思えないなんて人として終わってる。」
まりか「なんですって…。私は何も間違ってないわ。何がいけないのよ。自分のために人を使って。…あなたに愛を囁いてた狼だって私が少しカマかけたらすぐ私のところへ来たわ。でも時折あなたの話を私の前でする。そんなの許せないわ。…出てきて。」
滝本さん…いや滝本がそう言うと壁の裏からガタイのいい男が3人出てきた。
まりか「だからね?あなたを壊せば完全に私に落ちると思うの。…じゃあとはよろしくね?ちゃんと私が降りてからボコボコにしてね?」
「わかりました。」
まりか「じゃあ,壊れなさいよ。」
そう言い残すと屋上から出ていった。
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