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亀裂
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ーシンアSIDEー
誰、だ?…
暖かい…
久しぶりに感じる、人の温もり…
前は、あの城も暖かかったのに…
俺の全てが無くなったのは、数日前
そしてー
壊れ始めたのが、アイツが現れてから…ーー
ーーーーーーーーー
『初めまして、かな?私の名前はー』
俺達が始まりの聖地で出会ったのは
赤い髪に赤い目をしたミルという女で、
100年後、この地に降り立つと言われた、
光の姫だった
彼女は俺達七王剣を自分を守る道具じゃなく友として接してくれた。
そして…ミルは俺の髪を見て言ってくれた
『凄く綺麗な黒髪ね!』と…
この世界に住んでいる奴らは、皆黒が嫌い…
いや、憎んでいるんだ
黒は
この世界を滅ぼそうとした、
光の姫の敵、黒い塊と同じ色だからだ。
だが、彼女は褒めてくれた
その時、確かに俺様には見えたんだ
輝く光が、暖かい光が…
その後、俺様はミルを好きになった
俺様だけではなく、
'フィル'にセナン、’ロロ'に'ララ'も彼女を好きになった
俺達はミルに好かれたくて、
彼女の望みを全て叶えた。
美しいドレスに指輪
最高級の食材で作った料理
珍しい生き物や花
全て、叶えた…
そんなある日の事だ
ミルを好かなかったうちの一人、ヤンレイー'銀狼'が激怒したのは…
『何をしている!!?』
『何って?ミルのドレス置き場を造るために兵士達の部屋を改造してるんだよ?』
『何を馬鹿な事を!兵士達の寝床はどうするのだ!』
『『はぁ?あんな愚民達は庭で寝ればいいでしょ?』』
『っ貴様ら、そんな者のために兵士達に庭で寝ろと言うのか…!!』
『…おい、ミルを馬鹿にするのなら許さねぇぞ』
銀狼の胸ぐらを掴み、睨みつける。
『私のために喧嘩はやめて!
ヤンレイ、シンア達は私の為に…、?』
ミルが話している最中に、目の前の男は笑い出した。
『っ何を笑っているのですか!!』
フィルが苛立ちながらそう言った途端、
ピタリと奴は笑うのをやめて俯いていた顔を上げた
白銀の、瞳が鈍く光っていて
ー俺様はこの目を知っている
ーこの、目は……、
ーゾクッ
『っ!!』
突然の寒気に本能的に銀狼の胸ぐらを離して距離をとる。
チラッと周りを見ると、他の奴らも一斉にミルを守るように固まっていた。
それを確認してから銀狼を見ると、いつもの無表情でこっちを見ていた
いや、違う
あれは…'自分の敵を見ている目'だ
その瞳で俺達を順に見ていき、最後に俺様と目を合わせる
『どうしても、やめないのだな…?』
『…ハッ、当たり前だろ』
鼻で笑う俺様に、銀狼は一度目を閉じてからゆっくりと開けて…
『ならば私は、狼の王として言う。
本日より、狼の国ウォルドルフは
猫の国リオン、鳥の国フォウル
蛇の国ワザイヤ、狸の国ラクーン
この四つの国との同盟を破棄する』
言葉の意味をいち早く理解したフィルが歪んだ笑みを奴に向ける。
『…いいのですか?
私達を敵にまわすということですよ?』
『かまわん』
『な…!』
しかし、その脅しにも奴はあっけらかんと言い放つ。
『こんな愚か者達と私の国が同等など、片腹痛い』
『そのとおぉり!!』
ヤンレイの言葉に続くように、そんな声が聞こえるとバンッと扉が勢いよく開けらた。
『'キョウ'に'ナルミア'か…』
『ハロハロォ、ヤンヤン!』
『…久しいの』
扉から出てきたのは、最近見なかった
狐の国の王ーキョウと、
七王剣で唯一の女、
魚の国の王女ーナルミアだった
『…今の話、聞かせて頂いた』
急な事に俺達が固まっていると
スッと、ナルミアとキョウがヤンレイの隣に立つと口を開き
『オレ達もぉ』
『そなた達との同盟を』
『『破棄させて頂く/破棄しますぅ!』』
そう宣言した。
『『なっなんで、キョウちゃん!?』』
『えぇだって…
鬱陶しいんだもん、その女』
『『っ、キョウちゃ、?』』
急にキョウの声が低くなった事に、ロロララが戸惑う。
『だってさぁこの女、オレに言うんだもん
'おかしい'って
'そんなのダメだ'って
なんで、そんな事言うの?
なんで、オレの生き方を否定するの?
なんで?なんで?
…なんで?』
段々部屋の温度が上がっていくのを肌に感じた、その時ナルミアが無言でキョウの頭を撫でた
『…キョウ、落ち着かぬか』
ゆっくりと部屋の温度が下がっていく
それを合図に銀狼は無言で扉に足を向ける
扉付近には奴の側近、犬族の長ーユンが立っていた
銀狼はユンに何かボソボソと呟くと、颯爽と出て行きそれに続くようにキョウ達も出て行った。
辺りが静まる中、ユンがまだ扉の前に立っていた。
「…てめぇは行かねぇのか」
「…(フルフル)」
問いに首を横に振ると、ミル達の方にノソノソと歩いて行った。
(まぁいい、これはこれで好都合だ。
これでミルを狙う奴が三人減った)
ニヤリと、笑いながらミルにじゃれつくフィル達の方へ向かった…
今、思うと
きっと、この時から崩壊が始まったのだろう
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