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紫と赤と…
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ーミコトSIDEー
久しぶりに歌った懐かしい調はすぐに夜の闇へと溶けていき、残ったのは眠りについたシンアと俺だけ。
スースーと安心して眠るシンアについ笑みがこぼれるが、次の瞬間には顔を歪めてその場にしゃがみ込む。
「はーっ、はーっ、はーっ、ッ!」
胸を押さえて荒く息を吐いていると突然背中をさすられ、気がついたら俺がしゃがんでいる場所はシンアの部屋じゃなかった。
それに動揺もせず、ただ背中を労わるようにさする存在の名を口にする。
「ッはー…はーっ…紅…」
「…大丈夫です?」
いつになく心配気な声で言う紅に、首を縦に振って大丈夫アピールをするがしばらくの間背中をさする手は止まらなかった。
どれくらい経ったのだろうか…やっと息を整えた俺を紅は抱き上げると、いつも通り淡く光ってその存在を主張する桜木に背中を預けるように寝かせてくれた。
え…お前、どんだけ力あるんだ(汗
やすやすと抱き上げられた事にショックを受けていると、紅はどこ吹く風で俺と目をあわせた。
「…ミコト、彼に心配かけたくないのはわかりますが…あんな唐突に話を変えるなんて違和感ありまくりですわ。」
「え、マジで?そんなに違和感あったか?」
「逆に彼が違和感持たなかった事に驚きですわね(真顔」
真顔で言うほどか、とまたもや落ち込もうとする俺にため息をつく紅。
「ハァ…それより、よりにもよって何故"あの歌"なんですの?」
「いいじゃないか、子守唄に最適だろ?」
「確かに最適ですね、"催眠魔法"を混ぜた歌なんですものね…?」
…さすが俺の分身、全てお見通しって事か。
この声も聞こえているのだろう、馬鹿にするなと言う風に睨んでくる紅。
「はいはい、お見逸れしました………、なぁ紅聞きたいことあるんだが…」
「……碧の事でしょう?相変わらず馬鹿犬のように吠えてますわ。」
「………そうか。」
それに少しだけ、胸に先程とは違う痛みが走る。
「ミコト、悲しいのはわかりますが…」
「っあぁ、わかってるよ…」
"悲しんだら"、あいつを戒めるモノが緩んでしまうからな…。
「…酷なのは承知の上ですが、耐えなさい。今鎖を解いたら確実に彼が狙うのは…」
「わかってるよ」
たとえ碧でも…あいつを傷つける事は許さない。
俺が即答したことに、少し安堵するような顔をすると紅はおもむろに手を俺の目に被せた。
「ほら…今日はもう疲れたでしょう?貴方もそろそろ眠りなさい。」
強制的に視界が暗くなった俺に突然凄まじい脱力感と眠気が襲ってきたかと思えば、追い打ちをかけるようにそんな優しい声が聞こえて…
「…お、や…す…、み」
「…おやすみなさい_」
そこで、プツンと俺の意識は途切れた__
ーミコトSIDEendー
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