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雨宿りしましょ
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*視点交錯します
side:アキ
下校時刻。
夕立が降りだした。というかゲリラ豪雨…
幸い寮から近いので生徒たちも気にせずに帰って行く。
僕はその流れをぼうっと見送って、人の少なくなったところでカバンを持った。
まだあそこで雨の降る日を過ごしたことはない。
「あの穴さっさと塞げばよかった…」
今更どうしようもないけど…
びしゃびしゃになってるであろう寝床を思い浮かべてため息をついた。
服はビニールに突っ込んであるから平気だろうけど、ベッドがわりの古いマットはしばらく使えまい。
今日は寝れるだろうか、そんなことを考えながらゆっくりと人気のない校舎の裏側へ向かっていった。
******
side:英人
「あいつどこ向かうんだ…?」
アキが傘もささずに校舎の裏の方へ向かうのを見つけた。
あっちには確か穴が開いて使えなくなった体育倉庫やら廃部になった園芸部の畑の残骸が残ってるくらいだ。
なんとなく嫌な予感がしつつも仕方ないので傘をさして気づかれないように後を追う。
慣れたように歩く姿は、間違いなくこの前より痩せている気がした。
「つーかあいつフラフラしてないか…?」
なんとなく、前にちらりと見たプールで泳ぐ姿からは想像のつかない心細さ。
少しでも目を離したら、消えてしまいそうな。
「……まじかぁ…」
ようやくアキが足を止めたのは、想像通りの体育倉庫。
一度足を止めて上を見たかと思うと、アキは恨めしそうなため息をついていた。
「まじであいつ家出してるのか…」
先ほどの生徒たちの会話が気にかかる。
元はアキと仲の良い兄弟だったはずだ。
少しくらいの喧嘩でここにこんな雨の日にも寝泊まりしなければならないなんて余程のことがあったに違いない。
それでも仲睦まじそうな健斗と元は今日も仲良く帰っていったはずだった。
きっと元も白樺のところに泊まってると思っているか、本気でどうでも良いと思っているのだろう。
「はー兄弟喧嘩ってめんどくせえな」
姉とはそれなりに歳も離れていたし姉に一方的に言い負かされるだけだった自分としてはここまで拗らせるのがよく分からない。
にしても、知ってしまった以上はここに寝泊まりさせるわけにはいかないのが教師な訳で。
「おい、そこの篠原 秋。そんな所で寝る気か」
声をかけると、面白いくらい動揺した顔でバッとこちらを振り向いた。
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