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なまえ
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アキが目覚めたのはもう日も傾き始めたころだった。
「あ……」
「お、目が覚めたか」
ぽんと頭に手をやる。目が覚めてまもないからか、特に反応もない。
「そろそろ帰ろうか」
アキのカバンを持ってやる。アキは一瞬顔をぎゅっとしかめたものの抵抗する気はないようだった。
「そうだ、あっくん帰りに布団取りに行こうな」
「あ、あっくん?」
アキがきょとんとしている。柄にもなくかわいいと思ってしまう。
先ほどの校長との話を聞いていて、名前が嫌いなら新しい呼び方でもしてみるかと思ったのだ。
「ダメ?」
ちょっとのぞき込んでみると、熱のせいなのか恥ずかしいのかわからないが顔を赤らめたアキの目が飛び込んでくる。
「だ、だめというかその…」
たぶんあの時に何をしゃべったのかはいまいち記憶にないのだろう。それだけに急にそんなことを言われれば驚くのも無理はない。
「せっかくしばらく一緒に住むからね。あっくん呼びは恥ずかしい?」
「せ、せめてその呼び方は…」
やっぱり恥ずかしいのだろうか。なら、別に考えていた方でもいいかな。
「じゃあシュウって呼んでいい?」
「しゅう…?」
「うん。秋って漢字はしゅうって読み方もあるからね」
「…うん」
小さくうなずかれる。よし、しばらくはしゅうと呼ぼう。
恋人を特別な呼び方をする、みたいなタイプでもないので恥ずかしそうにされるとこちらもこそばゆいんだけど。
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