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嫉妬?
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「…シュウ、あいつと仲良くなったの?」
優しい声で聞かれてうつむく。
そこまで、仲良くなったわけでもない。
「あいつが冗談言うの初めて聞いたかも」
そんなはじめてが欲しいわけでもないんだけどな…
そもそも、外部進学の僕は彼の名前すら知らないのに。
ちらりと盗み見た先生の表情は少し複雑そうで困惑した。
「……健斗」
先生の口からこぼれた名前に目を見開く。
「恋バナ、してたんだっけ」
「え…と…」
なんと答えればいいのかな。
先生の意図をうまく汲み取れない。
「元彼のこととか、話してたの?って思っただけなんだ。ごめんね、帰ろうか」
ふっと空気を緩めようとした先生に違和感を覚える。先生はここまで踏み込むことのない人だとこの少ない交流を通して思ってきたのに。
なぜいきなり健斗のことを言い出したのかわからない。それが無性にドキドキとした。
「せ、先生」
「ん?どうした?」
思い切って口を開いても、先生はいつもとおなじ顔。
「なんで、いきなり健斗のこと…」
だんだんと声が小さくなって最後はしぼんで消えてしまう。なんでもなにも、先生に迷惑をかけるきっかけでもあるんだから気になるのは当然だよね。
先生も困った顔で笑う。
「んー、ごめん」
「いっ、いえすみません」
申し訳なくてまた俯くと、ポンと頭を撫でられる。
「気にしないで、ただの嫉妬」
その言葉に目を丸くした。
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