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side:秋
それは、突然の知らせ。
「兄さんが……?」
呆然とする。
自分の発した声もどこか遠いものに聞こえる。
「今、病院に…」
苦しげな顔をするのは、会いたくなかったはずの健斗。
教室に突然現れた彼に、教室中が騒然とした。知らないふりをしようとした僕の前にいきなり立ったかと思うと、信じられないことを口にした。
「なんで、にいさん……」
「そんなの!分かってんだろう!?」
急に大きくなった声に体が跳ねる。
わかんないよ。
わかりたくないよ。
僕が黙ってたからこんな風になったなんて。
兄さんがレイプされた。
その言葉に頭は真っ白になった。
暴力を受けた兄さんは病院に搬送された。
学内にいる兄弟のはずの僕には、誰からも知らされなかった。手当てをしたのは中等部の保健医と他の先生らしい。早川先生は、知っているだろうけど。
「お前も、いじめられてたんだろ」
健斗の声に思考をやめて顔を上げる。
健斗は酷く憔悴した顔をしていた。
「なんで、言わないんだよ」
「え……」
「お前が、声に出してれば調子に乗ってこんなことするやついなかったのに」
「ごめ……」
「元をどんだけ傷つければ気が済むんだよ!お前不良と仲がいいんだろ?」
「そんなっ」
「もしかしてお前が……」
健斗の声は途中で途切れた。
なぜなら、途中で彼は殴られたから。
「先生……」
ぼやけた視界に映ったのは見たことない顔をした早川先生だった。
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