アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
最悪の出来事 参
-
「ねぇ、この子、かわいいでしょう?」
笑みを浮かべる近藤は、全く悪意を持っていない。
しかし、それこそが二人にとっての恐怖だった。
「御影、二人にこんばんわは?」
近藤が抱きかかえた猫が、にゃあと答えるように鳴いた。
__ほ、本気でやべーじゃんか!
すがるような眼で坂口を見ると、坂口は鯉のように口をぱくぱく動かしていた。
な、ん、て、お、と、た__口はそう動いてから止まった。
なんてことだ、ということだろう。
坂口は坂口それから放心状態になってしまった。
「あ、あの、その猫は__」
「ああ、御影?」
奏は少々怯えながらそう聞くと、近藤は嬉しそうに答えた。
「勿論、あの子たちの子供よ」
__よかった。
ほっとした。
どうなるかと思っていた。
奏が隣を見ると、坂口もほっとした表情を浮かべていた。
元に戻って、よかった。
だが、個人的にネーミングセンスはどうなのだろう。
今考えたとしか思えない名前だ。
__御影、そもそも誰もつけないだろう、こんな名前。
だってそもそも、御影の意味わかってんのかよこの人。
御影とは__1 神や貴人の霊魂。神霊。みたま。
2 死んだ人の姿、または絵や肖像。みえい。 という意味だ。
そもそも霊魂だったら、いつ宿ったのだろうか。
あの猫が死んだのが随分と前になっているような気もする。
まぁ、近藤にはどうだってもいいのかもしれないが。
「でも、その名前の由来って__」
「こらっ!」
奏は坂口の口を押えると、「すみませんっ」と謝った。
しかしそれは、遅かったらしい。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
41 / 139