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いいひと、わるいひと 参
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「对不起__。
不要杀了我!!」
「あー、殺さないよ?
うん、僕らはね、今からホテルに行きたいのさ」
先ほど声音を低くしていた白斗は、今度は作り笑いを浮かべているようだった。
何故か、周りが明るくなったので、その顔をきちんと見ることができた。
その顔は、カッコいいというよりは綺麗、美しい、そんな言葉が当てはまる。
「・・・なぜわかった、んですか・・・?」
隣で、宗ちゃんが不思議そうに、そしてほかに怖い感情をこめながら、トーンを下げて問う。
はじめ、命明は何を指して言っているのかわからなかったが、キョロキョロと辺りを見渡してから、ようやくその意味を察した。
__宗ちゃんの通訳なしで、僕の中国語が分かった、の?
不思議な気分だった。
もしかして同士かもしれない、なんていう気分が、本当は先に出るべきなんだろう。
しかし、この状況下が影響してか、寧ろ恐怖を感じてしまった。
「あ、直感だよ直感、僕はさほど頭が良くないからね、言ってることで分かんないのは、だいたい直感で翻訳してるんだよね」
そんなことを言いながら、白斗は羽織っていた上着の右ポケットから、ギラリと光る何かを持ち出した。
何度も見たことのある、血祭の惨状を作り出すもの。
「まぁ、こんなとこで油売ってる暇も、生憎なくってさ。
と、いうわけで無駄話は終了ね。
今から悪い子ちゃん達にはちょっとしたお仕置きをしちゃおうかなぁ、なんて思っているんだけど、赤汰はどうする?」
シャキン、と、どこかのドラマみたいにそれを二人に向かい、ためらいもなく見せつける白斗。
ためらいどころか、哀れみさえもなく、ただただ、楽しそうに、あざ笑うように、笑っている。
手のひらに収まるサイズではあるが、確かにそれはナイフだった。
おそらく、バタフライナイフ、という折り畳みのできるナイフなのだろうが、凶器には変わりなかった。
腕も脚も縛られたまま、迫る刃から後ずさるのは、はっきり言って不可能だ。
しかし、それができると思うしかなかった。
「这个人是要杀死我们!!
我不想死!
帮帮我、帮帮我!!
宗ちゃん__!!」
思わず助けを求めると、隣で同じく手足を縛られている宗ちゃんは、覆いかぶさるようにして守ってくれた。
嬉しくて、それでも怖くて、がくがくと震えてしまう。
それをやめさせるように、宗ちゃんは甘い声音で囁いてくる。
「・・・大丈夫だ、俺が必ず守る。
・・・たとえ死んでも、護る。
・・・お前が先に逝ってしまったら、俺がすぐに後を追う。
だから、落ち着いて・・・」
頷くしか、なかった。
泣き声が、漏れていたかもしれない。
嗚咽が、混じってしまったかもしれない。
だけれども、なぜだかは知らないが、呼びたくなった。
「宗介__。
我爱你」
言ってから後悔する。
なんてことを人前で言っているんだろうか。
まして、愛してるとはいっても、恋とかではなくて、友達としてなのだけれども。
「・・・命明、人前ではそう、色っぽく俺の名を呼ぶな・・・。
・・・じゃないと、惚れちまう輩も出てくる・・・」
結局、友達として、と言わなかったのが悪かった。
宗ちゃんは、もう完全に発情期の動物くらいの感じで、命明の耳朶を甘く嚙んでくる。
そして、そのせいで、命明も、声が漏れる。
「やっ・・・やめっ、宗ちゃ・・・」
どうにかしてやめさせなければならないのに、腰が、熱を媚てくる。
「ひ、人前えええっ!」
どうにかして叫んだ言葉。
宗ちゃんは動きを止めて、ただただ、白斗と赤汰を睨んでいた。
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