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突然のはじまり
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あの日、俺は、呼び出しをされ、学校の屋上にいた。
いつもの難癖。いつもの喧嘩。互いに、殴り、蹴り、体中が痛くなっても、相手が倒れるまではやめない。喧嘩は楽しい。強い男が伸びた地面で、自分だけ立っているのは、爽快と言っても過言ではなかった。
だが、あの日だけは違った。殴られた反動で寄りかかったフェンスが、音を立てて壊れたのだ。
押し殺せなかった反動のまま、体が空中へと飛び出す。相手もこれは予想していなかったのだろう。咄嗟に助けようと手を伸ばしてくれたが、重力の方が俺を引き寄せるのが早く、その手は掴めなかった。
嫌な浮遊力、直後押し寄せる重圧と風圧。校舎から身を乗り出した相手の顔が遠ざかり、俺の名前を叫ぶのが遅れて聞こえた。
このまま死ぬのか。漠然とそう思ったが、それと同時に強く思った。
「死にたくない……!」
俺が死ねば、母さんを一人ぼっちにしてしまう。
世話になったおやっさんにも恩返しできてないし、他にだって色々とやり残したことがある。
嫌だ嫌だ嫌だ! 直後、俺を襲ったのは、強い光。
「なっ!」
強すぎる光に、思わず目を瞑る。刹那、嫌というほど感じていた風圧が、嘘のように掻き消えた。
「な……え?」
恐る恐る目を開けるとそこはーー。
「どこだよ。ここ」
知らない部屋の中だった。
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