アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
②
-
……って。
「おい!」
なにが起こったのか分からず、花弁を叩くが、もちろん効果なし。しかしまぁ、花弁は完全に閉じているのに、月光は透けるんだな……。
じゃない!
「出せよ! 俺はペット用に買ったんじゃねぇのかよ!」
自分をペットと言ってて虚しかったが、このまま食べられるよりはマシだ。触手は体液を出してないのか、いつもみたいにヌルヌルはしてないし、さっきみたいに体が熱くなることはない。だが、今この瞬間にも消化液みたいなのが出てきて、溶かされながら殺されるのではないかと思うと、気が気ではない。
俺があまりにも暴れるのが気に入らなかったのか、化け物の眠気混じりの声が花弁の中に響く。
「食べはしない。このまま寝ろ」
「はぁ!?」
素っ頓狂な声と共に、花弁を叩くが、触手が余計に伸びてきて、体を横に固定された。しかも、化け物の寝息まで聞こえてきた。寝るなら俺を出してから寝ろ!
「たく、なんなんだよ」
暴れても無駄だと悟った俺は、体から力を抜く。思った以上に柔らかなこいつの中は、どの寝具よりも寝心地が良く、しかも、気持ち良い香りが漂ってくるせいか、瞼がどんどん重くなっていく。
「くそ……」
別のことを考えたり、抓ったりと出来る限り寝るらないように色々と試したが、ついに眠気に耐えきれなくなった俺の瞼が完全に落ちる。
直後、待っていましたかのように、睡魔が俺の意識を一瞬でかっさらっていった。
そして俺は、異世界に来てから、1番危険な場所で、人生で1番の快眠を得てしまった。
……屈辱だ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
14 / 241