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④
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「寝るぞ」
「寝るのはいいが、……この伸びてきてる触手はなんだ」
俺は布団を跳ね除けると、触手から逃げるように化け物とは反対側へ後退する。ビビってんじゃねぇ! これに捕まると嫌なことしか起きないっていう予感があるからだよ!
「なぜ逃げる」
「勘じゃ」
幸い体液の効果は無くなってきた。が、化け物が扉側にいるため、そちらからの脱出は不可能。窓から飛び降りるにも、高さがありすぎる。八方塞がりとはまさにこの事か。
「無駄な抵抗はするな。時間の無駄だ」
「無駄かどうかはてめぇじゃなくて、俺が決めんだよ」
ジリジリの攻防戦。化け物が考えている事から、どうやっても逃れなくては。そう思って、後ずさった俺の手に触れたのは。
ーープニ。
「…………」
さぁと体から血の気が無くなるのが嫌でもわかる。振り向いてはダメ! なんていうホラー作品によく使われそうな台詞が頭の中で反響したが、意に反して、俺は後ろを振り返ってしまう。
傍から見れば、油の切れたロボットが無理矢理後ろを向いたように見えただろう。
「ッ!!!!!!!」
「逃がすか」
いつの間にか背後に回っていた触手から逃げようとするが、動くのは化け物の方が速かった。瞬時に俺の足首を触手で掴むと、マシュマロキャッチの要領で空中に放り投げ、そのまま花弁の中へご案内。俺が入った瞬間、花弁も見事に閉じるという、ファインプレーだ。
「だーせ!」
俺は花弁の中でめっちゃ暴れた。物理効かないと分かっていながら、殴る蹴る触手に噛み付くの椀飯振る舞いしてやった。
「暴れるな」
「ちょっ! 絡んでくるな! 離せ!」
「静かに寝れないのか」
「お前が俺を出せば、普通に寝る!」
ギシギシとそれなりの力でまた横向きに固定される。そうなってしまえば、昨日と同じようにすぐさま襲ってくる睡魔。くそ、こいつから薫ってくる、気持ちの良い香りが悪い。瞼が自然と落ちる。
「く、そ」
明日は絶対にベットで寝てやる。そう決意しながら、俺は眠りにつく。
「良い夢を……トール」
意識が落ちる直前、化け物が何かを言った気がしたが、その言葉を俺の耳は聴き取ることは出来なかった。
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