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④
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「……で、俺を呼びつけたと」
「お願い、ね!」
「まぁ、今日は丁度暇だったからな」
「ありがとーアルクレイド!」
「分かったから、早く黒髪の所に行け」
「はーい!」
粥を作って黒髪ちゃんの所に行くと、薬が効いているのか、すやすやと寝ていた。いつもも可愛いけど、こーみると、余計可愛い。
「つついたる」
ぷにっと頬を触手でつつく。けど、その顔が徐々に歪み、呻き声をあげ始めたから驚いた。いやいや、俺触っただけでなにもしてないから!
「 ……」
黒髪ちゃんが何かを呟いて、涙を流し、空中へ手を伸ばす。まるで、何かを引き留めるかのように。
《母さん! 置いてかないで! 母さん!!!!》
その姿が、過去の自分に重なる。
「大丈夫」
気付いたら、黒髪ちゃんの手を握っていた。触手じゃなくて、手で。思わずといった行動で、自分が1番びっくりした。
「大丈夫、1人にしない。ここにいるよ」
さらに驚くことに、普段の自分からは想像出来ない程の、真面目で優しい声が出た。なんだこれ。おかしい、俺はどうしたんだ……?
さすがの俺も気が動転したのか、慌てて握った手を離そうしたら、まるで離さないでとでも言うかのように、黒髪ちゃんがぎゅっと握り返してきた。さっきみたいな苦痛の顔ではなく。ほっとしたような表情で。
「……もう、離せないじゃん」
そっと握られてない手で黒髪ちゃんの髪を撫でる。俺らって人間の姿をとるけど、触手の方が感覚敏感だし、俊敏だから、殆どの事はこっちで済ましてしまう。手を使うのは、物書きや細かい事をする時位で、正直殆ど使ってない。
けど、人間にとってみれば、触手なんかよりも、こっちの手の方が安心するんだろうね。
もしかして、俺が飼育した人間達も、触手じゃなくて手で世話をしてたら、もうちょっと心を開いてくれたのかな?
「それは、気付かなかった」
今度からそうしようかな。まっ、俺のことだから、無意識に触手も使っちゃうかもしれないけどね!
「……っ」
「あ、起きた。どう、体調は?」
「 」
「粥、作ってきたけど、食べれる?」
黒髪ちゃんが頷いたので、粥をスプーンで掬って黒髪ちゃんの口元に持っていく。
もちろん、手で。
「……」
ーーパク。
「(お、食べた)」
もう一口という表情でこっちを見てきたので、さらにもう一匙口元へ。また大人しく食べてくれた。
「すんごい、素直」
多分、体調悪いのと半分意識朦朧としているせいだと思うんだけど、これがまた可愛い。いつも生意気なせいかな? このギャップヤバい。
反抗的な黒髪ちゃんも好きな俺からすると、少し物足りない気もするけどね!
「それじゃ、もう1回薬を飲んで、寝ようね」
体調悪いせいか、少し艶のない髪を優しく手で撫でると、これまた素直に頷く黒髪ちゃん。これ、ルンファクに見せてたくなってきた。きっと、腰を抜かす程、驚くだろうなぁ。
横になって目を閉じる黒髪ちゃんの額に、濡れたタオルを置く。その手で体温を測ろうと首筋に触れると。
「 ……」
「ちょっっっっと、待っっっって」
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