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フリークス&ジーク兄弟襲来
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化け物屋敷に来て、3ヶ月経った。既に俺は、日常生活に必要な単語は全部覚えていた。
喧嘩が好きでよくドンパチしていたから、不良と間違えられる事が多かったが、これでも母さんに迷惑かけないようにと、勉強はしっかりやっていた。そのせいか、自分で言うのも難だが、頭はいい。特に暗記は得意科目だったりする。それがこんな所で役に立つとは思ってもみなかった。本当に勉学はやっといて損はない。
お陰で、色々と分かったことがある。
この世界は俺たちの世界でいう想像上の生き物達が、人間のように国を作り、各々の個性を生かした仕事をしつつ生活をしているらしい。魔力もあり、魔法も使える。俺みたいな人間をこっちの世界に召喚するのも魔法の一種みたいだ。
人間は、どの場所でも家畜として扱われている。俺達がこいつらの言葉が分かるのは、世界を越えた影響らしい。
そして、世界の情勢もなんとなく分かった。
この世界の大陸は、主に三種族が国を仕切っている。1つが、獣の顔に人間の出で立ちをしている獣族。2つ目が、空を飛ぶことができ、下手すると神と呼ばれることもある龍族。そして、三つ目が俺のいる国で、触手という細い蔓を自在に操る触手族だ。他の種族もちらちらといるらしいが、かなり少人数らしく、殆どがどの3種族かの傘下に入っている。
言葉は主に四種類。三種族それぞれの言葉と文字。そして、どの国でも通じる公共語だ。ちなみに、俺が解読したのは公共語だったらしい。
試しにほかの言葉も解読できないかと挑戦したが、触手族はミミズが張ったような文字、獣族は、肉球文字、龍族に関してはもう、子供の落書きのような感じだった。
「これは、無理だ」
最初に開いた本が公共語のやつで良かった。いくら俺でも一番最初に見た文字がこれらのどれかだったら解読諦めてたわ。
だが、解読できない事には少し問題があった。こいつら、自分の弱点を知られないためなのか、それぞれの種族に関する記述の所は全部自分達の文字で書いているのだ。
お陰で、どの種族がどんな特性を持っているのかはさっぱりだった。
魔力や魔法に関しては、そもそも書庫に本がなかった。やはり、魔法書は危険物扱いなのだろかと思いアミラに聞いたら、どうやら魔法は、全て口頭での伝承のみらしい。
アミラ曰く、魔法を書物に書き記そうとすると、その瞬間、魔法が発動して大変なことになるそうだ。昔はそれで天気や気候が狂って、世界が壊滅しかけたとか。
そうなれば、伝えたくても伝えられないよな。ちなみに、魔法を使えないかと思って試そうと思ったら、まさかの肝心の呪文が日本語訳されちまって発動させる事が出来ないという。魔法陣も使ってみたが、触手族の文字なので、書けない書けない。お陰で、魔法を使うのは断念せざる負えなかった。
火をボッと出したり、空飛んだりとかしたかったのにな。めっちゃ残念だ。
まっ、言葉を覚えたから、筆談が出来るのではと、アミラと共に練習した結果、屋敷にいるやつとは難なく話ができるようになったけどな。初めて成功した時は、俺よりもアミラの方が喜んでいた。
「すごい! すごいよ! トールくん! 君は天才だよ!」
「うお!」
人間と化け物達が筆談とはいえ、会話が成立したのは、今回が初めてらしい。どうやら化け物達には、俺達の声は、氷同士がぶつかる様な、涼やかな音としてしか認識出来ないとのこと。結果、こんなチグハグな意思疎通しかできなくなっているらしい。
「いつも紙を持ち歩くのは面倒だろ」
俺が筆談を出来るようになったと知ると、化け物はメモ型の魔石と羽根ペンセットをくれた。
あ、魔石っていうのは魔力の篭った石のことな。こっちの世界で言う、宝石類がこの部類に入る。魔法の基盤にも使えるみたいなんだが、殆どの魔石は魔法を付加し、装飾品として使ってるらしい。
ちなみに、この魔石。専用の羽根ペンで文字を書けるのは勿論、消したい時は羽根の方で擦ると簡単に消える仕組みになっている。何度書いても傷1つ付かないし、とても軽いので、重宝させてもらってる。
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