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『 写真撮ってんだよ。ほら』
スマホケースから出てきた写真をアミラとジークに見せると、二人とも目を丸くしてた。そういえば、こっちで画像とか写真っていうと、絵画だったな。前に化け物がやってたけど、長時間同じ姿勢から動けねぇせいか、終わった後めっちゃ疲れた顔してた。
「なに、これ……」
アミラとジークは、感動飛び越して言葉を失っていた。それはそうだよな。俺の世界じゃ普通だけど、こんなのこの世界にはないわけだし。
「どうなってるの、これ」
『構造までは知らねぇけど、俺達の世界には普通にあるものだよ』
「これが、トール君の世界には普通にある……の?」
「人間はすごいねー。こっちでも作れたりする?」
『多分、出来ねぇ』
科学者や天才がこっちに来たならまた話は変わるが、ここまで精巧に作るにはそれなりの時間がかかるだろう。少なくとも、俺が生きてる間には完成しねぇ。それは確実だ。
「それを聞いて安心したよー。こんなの、出来たなんてなったら、世界の均衡ひっくり返っちゃうよ」
「確かにな」
この世界事情は詳しく知らねーが。この状態で平和ならその方が良いだろう。俺がスマホを使えたせいで無碍な争いが起きるなんて、死んでもゴメンだ。
「けど、その、しゃしん? だっけ。おもしろーいね! ねぇねぇトールちゃん! もっと撮って撮って!」
「僕も僕も!」
「はいはい」
ジークやアミラをてきとーに撮ってると、化け物がフリークスを連れて帰ってきた。化け物は、ポーズをしている2人を訝しげに見た後、俺の持ってるスマホを見て、首を傾げる。
「なにやってるんだ?」
「しゃしん、とってもらってるんだー」
「しゃしん? なにそれ?」
「ほい、チーズ」
ーーカシャ。
間髪入れず、化け物とフリークスにスマホを向けてシャッターを切った。いきなりだったせいか、二人ともぽかんとした顔をしてる。ぷっ、おもしれー顔。
ま、化け物には、それが気に食わなかったらしいけどな。
「誰でもいいから説明しろ」
「トール君の世界のものらしいですが凄いんですよ! 景色切り取ったみたいに映るんですよ!」
「ほぉ」
「へぇ、気になる気になる!」
「お前らにやったら壊すからやらねぇ!」
そうでなくても、やっと掴んだ向こうの世界と繋がる手立てなんだ。それを壊されてたまるものか。
「あ、けど、全員で写真を撮るのはありか」
丁度俺のこの世界の知り合い全員揃ってるしな。それに、向こうに戻ったあともこいつらを思い出すきっかけになるし。
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