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④
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「似合うな」
ま、化け物が満足そうだからいいか。そういえば、指輪なんて初めてしたな。指に何か嵌ってるとうずうずするかと思ったが、思ったよりも違和感なくて驚いてる。
そんな事を考えてるうちに、ホクトが小さな袋を抱えて戻ってきた。
「兄様、こちらでよろしいでしょうか?」
「大丈夫だ。ありがとう」
「いえ、兄様のお役に立ててなによりです」
「また来る」
「いつでもお待ちしております。今度はおまけなしで」
俺はおまけかい。
初めから最後まで塩対応なナイトに、俺は少し苦笑を浮かべながら馬車に乗る。
「人間風情が兄様に可愛がわれるなんて、許さない……」
俺らを見送ったナイトが、そんな事を呟いていたなんて、梅雨知らず。
その後、俺は化け物と数件店を周り屋敷に戻った。俺は化け物に本を買ってもらえて、めっちゃテンション上がってる。これで少しでも元の世界に繋がるヒントが得られればいい。
「セルフィ、戻った」
『ただいまセルフィ』
「おかえりなさいませ。旦那様、トール様。……おや、トール様。その指輪は?」
『もらった』
「そうですか。その指輪は自分で付けたのですか?」
『いや、付けてもらった』
俺の返答にセルフィは、少し何かを考えたあと、耳打ちをしてくる。
「人間はどうか分かりませんが……その指は、我々にとって、一番重要な部分に繋がる場所になります。そこに指輪を送る意味はーー」
ーーポカポカ。
「ん? どうした? セルフィもなんで笑ってる」
「いえいえ、旦那様も随分と粋なことをなさるなと」
自分の背中を叩く俺の姿と、少しにやけていたセルフィの表情に化け物は合点がいったようだ。
意味有りげな笑みを浮かべながら、首を傾げて。
「なんのことだ?」
なんて、言いやがった。
「この、キザ野郎!」
化け物たちにとって、左手の人差し指に指輪を送る意味。 それは……。
一生、離さない。
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