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脱走
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ホクトが俺に用があって屋敷に来た。そう聞いた時は、思わず身構えてしまった。
最初から最後まで塩対応だったあいつが、兄である化け物じゃなくて、俺に用。何かあるのではとおもってしまうのは、もう反射と言っても過言ではないだろう。
しかも、俺以外誰も部屋に通すなというし。罠とかしか思えない。
「化け物は、出張してて、暫く帰ってこないからな」
腹を括るしかないか。
「遅い」
部屋に入った瞬間、間髪入れずに文句が飛んできた。カチンとくるが我慢だ。我慢。
『なんの用だよ』
「ちょっと面白い商品を仕入れてな」
言いながら、ナイトが出したのは、小さな木の人形。
『なんだこれ』
「魔力を吸った人間と同じ姿になる人形だ」
「へぇ」
面白いものがあるんだな。
「吸った魔力の量によって動く時間が違う」
『けど、なんでこれを俺に?』
「この屋敷から出たいんだろ? 手助けをしてやると言ってるんだ」
目を見開く。それは願ってもない提案だ。
「最大で1日は持たすことが出来らしい。魔力が同じだし、紋章も移せる。人間の足でも1日もあれば遠くに逃げられるだろう。ある程度の所までは、連れ出してやる」
『助かる! お前、良い奴だな!』
「別に、兄様近くに人間がいるのが気に入らないだけだ」
だとしても、大助かりだ。
『さっそく魔力を込めてみるな』
人形を手に起き、力を込めた。俺の中にある何かが人形に流れていくのが分かる。これが魔力らしい。まぁ、これが分かっても呪文が未だに意味不明だから、残念ながら魔法は使えねーけどな。
ある程度魔力を注ぐと、人形が光り、俺と同じ姿になる。思わずぐるぐるとそいつの周りを回っちまった。すごい、本当にそっくりだ。
「これを通って外に出ろ。あとは俺が誤魔化しておく」
『ありがとうな!』
俺は、ホクトが作ってくれたワープを通り抜ける。1歩目は、紋章を移したとはいえあれがくるんじゃねぇかとビクビクだったが、ワープから離れても、なにもない。これには思わずガッツポーズをしちまった。
よっしゃあ! やっと屋敷から出れたぜ!
あ、ホクトに言うことがあった。それを言おうとして、後ろを振り返った瞬間。
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