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とある社長室の一幕~その3〜(フリークス視点)
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社長室からまた激しい音が響いた。びくりと肩を跳ねあげる部下に、少しため息を吐きながら、俺は社長室の扉を開ける。
「しゃちょー。物に当たるのやめてくれない? 部下が怖がってるんだけど」
「うるさい。話しかけるな」
おーこわ。しゃちょーったら、殺気立っちゃってるし。なんか、学生時代のしゃちょー思い出すわ。あの時のしゃちょーも、今みたいに誰も近付くなオーラめっちゃ出てたもんな。懐かしいわ。
「ほーら。そんなに怒らない怒らない」
「怒ってない」
眉つり上げた状態で言うセリフじゃないね、うん。
「こんな事言うの凄く嫌だけど。トールくんの事はもう諦めなよ」
パンっ! と後ろの花瓶が割れた。マジで俺を殺しそうな顔してるんだけど、こわ。
今だって、目の下にでっかいクマ作ってるし、髪も乱れてる。いつもは抑えきれてる魔力も放出しっぱなしだし。そして、このイライラよう。
仕事はきちんとこなしてるから、そこまで強く言ってこなかったけど、あれからもう3ヶ月だ。そろそろ誰かがそれを言わないといけない。
セルフィやアミラやジークさえも、まだトールくんの生存を信じて動いてる。なら、これを言うのは、俺の役割なのだろう。
「あれからもう3ヶ月。黒髪の人間が、単独で行動してたなら、死んでてもおかしくない期間だ。それに、この3ヶ月必死に探しても手掛かりひとつ出てこないじゃんよ」
「だからこそ、色んな種族とのパイプを作ってるじゃないか」
「その相手に、自分のペットが誘拐されたので、探してくださいなんて頼むのかよ。公私混同するなというお前の発言とは思えないな」
「……」
「他種族とのパイプは前々から必要と思っていた。それが出来るのは会社としてありがたい事だ。だけど、それを私用に使うのは、いくら社長といえ許されないことだぞ」
「なら、どうしろというんだ!!!!!!」
しゃちょーが、机に拳を叩きつける。多分、しゃちょーは分かってる。自分のしている事は、ただの自己満足でしかないのではないかと。けど、止められないのだろう。それ程、トールくんは、彼にとって存在が大きくなっていたのだ。だからこそ、これ以上、彼が苦しむ姿を見たくない。
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