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「いい加減、返せ! お前の所にあれがいるのは分かっている!!」
「なんの事だか身に覚えがねぇな」
「まだ恍けるか。あれは俺だけのものだ。返さないというなら、力ずくで奪う!!」
「やれるもんなら、やってみろ!」
「やめろ!!」
俺は叫ぶ。瞬間、驚いた様にこちらを見る二人。俺は、もう1度言った。その声は微かに震えていた。
「やめろ。俺なら……ここにいる」
1歩、また1歩近付く。
目を見開いたまま、俺を見つめる化け物の方へ。
リオンに散々やられたのだろう。いつもはぴしっとしたスーツにはシワがより、所々、刀身傷があった。
「……本当にトール、なのか?」
幻に触れるかのように伸びてきた触手をそっと俺は掴んだ。
「俺以外に、トールがいるのかよ」
笑って手を伸ばすと、化け物はキツく俺を抱きしめてくれる。
「無事で……良かった」
安堵の混じったその言葉と久々の化け物の温もりに、俺の中で堰き止めていた何かが壊れた。
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