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⑤
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「なんか、リオンがいないって新鮮ですね」
「だな」
一緒のベッドに入って笑い合う。いつもは、オレは隣のベッドで寝てたからな。少し狭いけど、こうやってくっついて寝るのは、レオの温もりが伝わってきて、とても暖かい。
「触手国に来た時は、遊びにこいよ」
「トールさんもまた獣国に来た時は、会いに来てください。それで、あの……」
「どうした?」
レオは、しばらくもじもじしていたが、意を決したように、俺を見上げる。
「あの、トールさんのこと、トール兄さんと呼んでもいいですか!?」
鼻血出るかと思った。なにこの可愛い生き物。思わず、レオに抱きついて、頭をわしゃわしゃしちまった。
「良いに決まってんだろ! それに、前から言おうと思ってたんだが、俺と話す時、敬語じゃなくていいぜ」
「いいの、ですか?」
「俺とレオの仲だろ」
「……うん!」
あー、もう。レオの笑顔に悩殺されそうだ。あの強面リオンがレオの笑顔を見ると、デレデレになるのがすごく分かる。
なんかこう、レオって子犬みたいな可愛らしさが滲み出てんだよな。いるだけで、めっちゃ撫でたくなるやつ。今も無意識で撫でてんだけどな。
暫くなすがままだったレオだが、急に顔が曇る。
「どうした? レオ?」
「……こうやって、リオンとも話せればいいのになって思って」
「っ! ……リオンと、話したいのか?」
「うん。僕はリオンの言葉が分かるけど、リオンは僕の言葉分からないから」
「……」
「僕、リオンにありがとうって伝えたいんだ。大好きって、ずっと一緒にいたいって。元の世界では、言葉なんて伝わなきゃいいのに、聞こえなきゃいいのにって思ってた。けど、リオンに会って、言葉が伝わらないって、こんなに苦しくて、もどかしいものなんて、知らなかった」
レオの言葉に、俺は押し黙る。
生活を共にしてると分かるんだが、レオとリオンは、熟年夫婦みたいな部分がある。だから、言葉が通じてなくても、相手がなにをしたいのか、なにを思っているのか、直感で汲み取って互いの為に動いている。時たま、本当に言葉が通じてんじゃないか、って思う程だ。リオンもレオも相手の行動には敏感だから、その辺がかっちり嵌ってるんだろうな。
2人が互いを思いあってる。それは誰から見ても一目瞭然だ。
だからこそ、改めて言葉で伝えたいなんてレオが言うとは、思ってもみなかった。
「トール兄さんは、ご主人様に伝えたいって思うことはないの?」
素直な疑問に言葉が詰まる。俺は……。
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