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俺は少し悩んだ後、魔石に書いていく。
『この世界で、一番落ち着く場所だ』
本当は好きと伝えればいいのだろう。けど、この関係を崩したくない俺にはその勇気はない。だからこそ、これ以外の言葉を言うことは出来なかった。
化け物は、俺の言葉に軽く目を見開いた後、口を開く。
「俺は、2度とお前を手離す気はない」
「……」
「だが、里帰りをさせないほど、縛り付けようとは思わない」
「え?」
「こちらの世界に帰ってくる方法も一緒に探す。そういう条件なら、協力しよう」
化け物の言葉に、俺はとても驚いた。まさか、協力を得られるとは思ってもみなかった。
「良かったね、トール兄さん!」
「あ、あぁ」
抱き着いてくる、レオの髪を優しく撫でる。化け物から協力が得られた。これはとても喜ばしい成果だ。駄目だろうと言う思いが強かったせいか、実は夢なんじゃないかと疑ってしまった程だ。
「で、聞きたいのだが」
「ん?」
「これは、人間の言葉だろ。なんて書いてある」
化け物が指さしたのは、手紙の一番下に小さく書かれた英語。なにあざとく見つけてんだよ。
「こういう書き方をするということは、お前自身は教える気はないのだろう。ならレオ、教えろ」
「はい。えっと。……え?」
文を読んでびっくりした顔でこっちを見るレオの視線から逃れたくて、目をそらす。レオは、少し戸惑った後、その意味をメモ帳に書き記し、化け物へ見せた。
『トール兄さんは、あなたの名前を聞いています』
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