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雑貨屋、食材屋、服屋(人肉売り場は意図的に避けた)を一通り回ったが、お目に掛かるものはない。
「弱ったな」
「もう一度お店回る?」
アミラの提案に、それもありだなと思った直後。
「お前!」
「ん?」
声が聞こえた方に目を向けると、そこにいたのはホクトだった。頬を引き攣らせ、まるで化け物にでも会ったかの表情だ。そう言えば、あの事件の後、ホクトとは会ってなかったな。
まぁ、自分を罠に嵌め、なおかつ信頼できねぇ奴に自分から会いに行くなんて頭がわいたような事をする暇なんて、俺にはねぇからな。コバルトに怒られたことを突っつきに行くのは、それはそれで面白そうだけどな。
「お前がなんで屋敷の外にいるんだ! お前のせいで、私は兄様に!」
自業自得だろ。アホ。
一触即発の火花が散ってる中、沈黙していたアミラが動いたかと思ったら。
「こら!」
「あた!」
ホクトの触手を引っ張った。ちなみにこれは、触手族同士の諍いを諫めるときに使われる方法らしい。
「なにするんだアミラ!」
「ホクト、トール君にごめんなさい言ったの?」
「うぐ、それは……」
「トール君がどんな目にあったか、ホクトも聞いたでしょ。下手したら死んでたんだよ」
「あれは、私のせいじゃ」
「ホクト!」
アミラの怒声に、ホクトが肩を跳ね上げる。ホクトの反応も珍しいが、アミラが誰かを呼び捨てしいてるのはもっと珍しい。アミラは昔、コバルトの会社に勤めていたというし、その時に知り合ったのかもしれない。
「もう一度言うよ。トール君に謝りなさい。それとも、またお説教受けたいの?」
「……」
長すぎる沈黙が落ちる。ホクトは、拳を握りしめた後。
「ごめん、なさい」
そう、蚊の泣くような声で言った。
まさか、本当に謝るとは。
『もう、怒ってねぇ』
まぁ、色々あったが、それのお陰でレオ達に会えたり、言えなかったこと言えたりしたからな。
終わりよければすべてよしだ。
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