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「という事でやってきました。龍国」
馬車にゆられて数時間。俺は、目の前に広がる光景に、思わず目を見張ってしまった。
見た目は、中国の繁華街みたいだ。赤に統一された所狭しに並ぶ建物。空に浮かぶ門。大きな塔。優雅に舞う龍。
なんか、触手国がthe中世ヨーロッパだとすると、ここはthe中華ファンタジーって感じだな。ちなみに、獣国はthe田舎だ。
「ここは、観光地だからな。そこそこ整ってる」
『そこそこってどういう事だよ』
「本来の龍国は、こんなに整ってない」
どういう事だそれ。思わず首を傾げたが、コバルトはそっぽを向いたままで言うつもりはないらしい。
まぁ、3日はここにいる予定だし、嫌でもコバルトのいった意味は分かるだろ。
「おにいさん! 龍国名物、龍饅頭はいかがだい?」
「トール、食べるか?」
頷くと、1つ渡された。どうやら温泉饅頭らしい。丁寧にこされた餡が思った以上に美味い。
「美味しいか?」
「うまい!」
「そうか」
触手で撫でられ、なんか少しくすぐったい。そう言えば、こうやって長時間二人きりになるのは、獣国から帰ってくる以来な気がする。
しかも、二人きりで旅行とか、その……で、デートみたいだしな。
なんか、意識し始めてたら、恥ずかしくなってきた。
「トール、どうした?」
「な、なんでもねぇ!」
いきなり顔を覗きこんできたコバルトに、過剰な反応をしてしまう。あーもう! 静まれ俺の心臓!
「取り敢えず! 観光!! 行くぞコバルト!」
「走らなくても観光地は逃げていかないぞ」
「うるせぇ!」
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